COSCO Shipping Specialized Carriers Ltd v PT OKI Pulp & Paper Mills and Others [2024] SGCA 50

貨物船Le Liがインドネシアの港湾施設を離岸後、桟橋へ通じる橋梁に接触して損傷させた事故について、荷送人兼施設運営者であるOKIがインドネシアで提起した不法行為訴訟を、船荷証券に取り込まれたシンガポール仲裁条項に反するとして差し止められるかが争われた事案である。第一審は、橋梁損傷請求は船荷証券とは独立した純粋な不法行為請求であり、仲裁条項の対象外として差止めを拒否した。

控訴院はこれを覆し、外国訴訟で現に提起され、又は合理的に予想される争点を特定した上で、それらが仲裁条項の範囲に入るかを判断すべきとした。その際、不法行為請求を契約請求に言い換えられるかではなく、不法行為請求、契約上の抗弁及び反対請求が、共通の事実問題と密接に結び付いているかを検討すべきである。

本件では、OKIの橋梁損傷請求に対し、CSSCは船荷証券上の航海過失免責を主張し得るほか、安全港保証違反に基づく反対請求も予想された。これらはいずれも、接触事故の原因が何であったかという同一の事実問題に依存する。事故は運送契約の履行中に発生しており、OKIが荷送人ではなく橋梁所有者として訴えていることは、仲裁条項との関連性を否定する理由にならないとされた。

したがって、合理的な商人であれば、同一事故をめぐる不法行為請求、契約上の抗弁及び反対請求を一括して仲裁で解決する意図であったと解され、インドネシア訴訟は仲裁合意に違反すると判断された。OKIがシンガポールに資産を有しない可能性も、差止命令を発する妨げにはならず、控訴院は訴訟差止命令を認めた。