ADM Industries Centers Ltd v Inerco Trade SA [2026] EWHC 1873 (Comm)

GAFTA Form 48を組み込んだウクライナ産トウモロコシ60,000MTのCIF売買について、Black Sea Grain Initiative下のJCC検査停止により船舶が黒海へ進入できず、船積みが遅延したことから、Force Majeure条項の適用、通知期限及び船積期間延長の解釈が争われた事案である。売主はClause 20のForce Majeureを主張したが、買主は通知が遅れたとしてその効力を争った。

裁判所はまず、Clause 20(1)(k)の「unforeseeable」は、単に発生可能性があるか否かではなく、その発生リスクが無視できるほど小さいかという文脈で判断すべきとした。したがって、通常の短期的な検査停止は予見可能でも、過去の経験と著しく異なる長期停止については「unforeseeable」と評価し得るとして、GAFTA Boardの判断を支持した。

一方、Force Majeure発生後7日以内の通知を要求するClause 20(2)については、「provided that」という文言、商取引上の予測可能性及び明確な期限設定から、これはForce Majeure援用のcondition precedentであると判断した。したがって、期限内通知がなければ、実際に買主へ重大な不利益が生じたか否かにかかわらず、売主はClause 20を援用できない。ただし、Force Majeureが7日に発生したのか、長期化により9日に初めて「unforeseeable」となったのかは仲裁判断で明確でなかったため、この点はGAFTA Boardへ差し戻された。

さらに、Clause 10の8日間の船積期間延長について、Clause 20によるForce Majeure延長後にも適用し得るとしたが、Clause 10上の通知期限は、Clause 20によって延長された船積期間の終了後最初の営業日までに行う必要があるとした。結論として、「unforeseeable」の解釈は維持されたが、Force Majeure通知は厳格な条件先行条項であることが確認され、通知起算日を判断するため仲裁判断は差し戻された。