The Solong [2026] EWHC 1211 (Admlty)

Solongが錨泊中のStena Immaculateに衝突した事故について、Solong側が責任制限を主張できるかが争われた。 責任制限を否定するには、船主自身の行為又は不作為が、損害発生の蓋然性を認識しながら無謀に行われたことを立証する必要がある。裁判所は、条約上の「such loss」は、実際に生じた特定の損害ではなく、その種類の損害を意味すると判断した。もっとも、責任制限を否定するには、船   続きを読む…

The Goliath [2026] HCA 15(Australia)

Goliath号が港内でタグボート2隻および岸壁に衝突し、タグボートが沈没した事故について、沈没船の撤去費用や流出油の処理費用を含む請求に対し、Goliath船主が責任制限を主張できるかが争われた。 1976年責任制限条約は、船舶の運航に関連する物的損害を原則として責任制限の対象としているが、オーストラリアは、条約上認められた留保を行い、沈没船の引揚げ、撤去、破壊または無害化に関する請求を責任制限   続きを読む…

Tasmanian Ports Corporation Pty Ltd v CSL Australia Pty Ltd(The Goliath)[2025] FCAFC 53

Goliathが港内でタグ2隻および岸壁に衝突し、沈没したタグの撤去費用等について、船主が1976年責任制限条約に基づき責任を制限できるかが争われた。 オーストラリアは、同条約2条1項(d)の沈没船の引揚げ・撤去・無害化に関する請求を国内法化していなかった。船主は、撤去費用は同時に同項(a)の財物損害に伴う結果損害にも当たるため、なお責任制限の対象になると主張した。第一審はこの主張を認めたが、連邦   続きを読む…

MSC Mediterranean Shipping Co SA v Conti 11 Container Schiffahrts-GmbH & Co KG MS(The MSC Flaminia)[2025] UKSC 14

危険物貨物の爆発により本船が損傷し、傭船者が船主に約2億米ドルの損害賠償責任を負った事案において、船主自身が被った損失についても傭船者が1976年責任制限条約に基づき責任を制限できるかが争われた。 最高裁は、同条約上、船主と傭船者はいずれも「shipowner」に含まれ、船主が自己の固有損害を傭船者に請求する場合を責任制限から一律に除外する明文はないと判断した。したがって、船主から傭船者への請求で   続きを読む…

Reseau de Transport d’Électricité v Costain Ltd [2025] EWHC 73 (Admlty)

英仏間の海底高圧電力ケーブルが、艀Stema Barge IIと貨物船Saga Skyの衝突後に両船の錨によって損傷した事故について、Stema UKが1976年海事債権責任制限条約1条4項に基づく責任制限を改めて主張できるかが争われた事案である。 従前の責任制限訴訟では、第一審がStema UKを同条1条2項の「operator」と認定したが、控訴院はこれを覆し、同社は同条に基づき責任を制限でき   続きを読む…

Sea Consortium Pte Ltd and Others v Bengal Tiger Line Pte Ltd and Others [2024] EWHC 3174 (Admlty)

コンテナ船X-Press Pearlの火災・沈没事故に関連し、同船の積載スペースを利用して貨物を運送していたBengal Tiger、MSC及びMaerskが、1976年海事債権責任制限条約1条2項の「charterer」に該当し、責任制限を援用できるかが争われた事案である。同条は、船舶所有者のほか、用船者、管理者及び運航者を「shipowner」として責任制限の対象としている。 裁判所は、先例で   続きを読む…

CSL Australia Pty Ltd v Tasmanian Ports Corporation Pty Ltd (The Goliath) [2024] FCA 824

セメント運搬船Goliathがタスマニア州デボンポート港でタグボート2隻及び岸壁に衝突し、タグボートの沈没、油濁、岸壁損傷及び事業中断損害が発生したことから、船主CSLが1976年海事債権責任制限条約に基づく責任制限を主張できるかが争われた事案である。特に、沈没したタグボート及び流出油の撤去費用が責任制限の対象となるか、また港湾事業者TasPortsの標準約款によって責任制限権が排除されているかが   続きを読む…

Owner and/or Demise Charterer of the Vessel “A Symphony” v Owner and/or Demise Charterer of the Vessel “Sea Justice” [2024] SGCA 32

中国・青島沖でA SymphonyとSea Justiceが衝突し、船体・貨物損害及び重大な油濁事故が発生した。シンガポールでの対物訴訟を停止する際、Sea Justiceの船舶差押えに代えて提供された担保を維持すべきかが争われた事案である。両当事者は中国でも責任制限基金を設立し、衝突責任に関する訴訟を提起していた。 下級審は、事故地、準拠法、証拠及び関連訴訟の重複を考慮し、中国が明らかにより適切   続きを読む…

Zurich Insurance Co Ltd and Others v Halcyon Yacht Charter LLP and Others (The Big Kahuna) [2024] EWHC 937 (Admlty)

ギリシャ・コルフ島のマリーナで発生したBig Kahunaの火災が他船へ延焼し、複数の船舶が沈没した事故について、同船の所有者及び保険者が英国で責任制限手続を開始したところ、被害船Halcyonの所有者が、ギリシャの方が適切な法廷地であるとして英国手続の停止を求めた事案である。英国の責任限度額は約53万ポンドであるのに対し、ギリシャでは約160万ポンドとされていた。 裁判所は、事故原因や損害賠償責   続きを読む…

Owner and/or Demise Charterer of the Vessel “A Symphony” v Owner and/or Demise Charterer of the Vessel “Sea Justice” [2024] SGHC 37

中国・青島沖でA SymphonyとSea Justiceが衝突し、船体・貨物損害及び油濁事故が発生したことから、A Symphony側がシンガポールでSea Justiceを差し押さえた一方、双方が中国でも責任制限基金を設立し、衝突責任を争っていた事案である。Sea Justice側は、シンガポール訴訟の停止、差押命令の取消し及び担保返還を求めた。 裁判所は、事故地が中国領海であり、中国法が適用   続きを読む…

Owner and/or Demise Charterer of the Vessel “A Symphony” v Owner and/or Demise Charterer of the Vessel “Sea Justice” [2023] SGHCR 24

中国・青島沖でA SymphonyとSea Justiceが衝突し、船体・貨物損害及び油濁事故が発生したことから、A Symphony側がシンガポールで対物訴訟を提起し、Sea Justiceを差し押さえた一方、双方が中国でも責任制限基金を設立して衝突責任を争っていた事案である。Sea Justice側は、シンガポール訴訟の停止、差押命令の取消し及び担保返還を求めた。 裁判所は、Spiliadaの   続きを読む…

MSC Mediterranean Shipping Co SA v Stolt Tank Containers BV and Others (The MSC Flaminia) (No 2) [2023] EWCA Civ 1007

MSC Flaminiaで危険貨物の自己重合により大規模爆発・火災が発生し、船体及び多数のコンテナが損傷した事故について、定期用船者MSCが、船主Contiから請求された約2億米ドルの損害について1976年船主責任制限条約に基づく責任制限を主張できるかが争われた事案である。 控訴院は、同条約上「shipowner」には船主だけでなく用船者も含まれるものの、用船者が責任制限できるのは、船主・用船者等   続きを読む…

Perusahaan Perseroan (Persero) PT Pertamina v Trevaskis Ltd (The Star Centurion and The Antea) [2023] HKCFA 20

Anteaが錨泊中のStar Centurionに衝突し、同船が全損となった後、インドネシア当局の命令に基づきStar Centurion側が負担した難破船撤去費用について、1976年船主責任制限条約に基づく責任制限が適用されるかが争われた事案である。香港法は、同条約2条1項(d)の難破船撤去請求を適用除外としていたため、Antea側は同条1項(a)の「物的損害及びその結果として生じる損失」に撤去   続きを読む…

広島高裁令和2年2月21日決定(平成31年(ラ)第54号・船舶所有者等の責任制限手続開始決定に対する即時抗告事件)

船舶が山口県周防大島の橋梁に衝突し、橋桁、送水管、電力・通信ケーブル等を損傷させ、約40日間の断水を生じさせた事故について、船舶所有者が船主責任制限法に基づく責任制限手続を申し立てた事案である。債権者らは、船長らの航海計画及び操船が無謀であり、船主自身にも安全管理上の重大な欠陥があるとして、責任制限は認められないと主張した。 広島高裁は、責任制限を阻却する「損害発生のおそれを認識しながらした無謀な   続きを読む…