Briety Shipping Inc v Trafigura Maritime Logistics Pte Ltd [2026] EWHC 1714 (Comm)

LNG船Tenergyの5年間の定期用船契約における用船料算定式の解釈が争われた事案である。用船料はJKMとTTFという2つのLNG価格指標の差額に連動し、最低日額5万米ドル、最高14万5,000米ドルとされていた。船主Brietyは、JKM-TTFがマイナスとなる場合も絶対的な差額として扱い、一定額を超えれば用船料が上昇すると主張したのに対し、用船者Trafiguraは、差額がマイナスの場合には   続きを読む…

Tonzip Maritime (Singapore) PTE Ltd v 2 Rivers PTE Ltd (The “Catalan Sea”) [2026] EWCA Civ 641

傭船者が指定したロシア産石油貨物について、制裁対象者が荷送人企業を実質的に支配している可能性があるとして、船主が積載を拒否できるかが争われた。 傭船契約の制裁条項は、船主の合理的判断により、航海指図への従事が船主、本船、船員又は保険者を制裁にさらす場合、船主が当該指図を拒否できると定めていた。控訴院は、「制裁にさらす」とは、実際の制裁違反が確実又は可能性として過半であることを要せず、現実的な制裁リ   続きを読む…

SCMA Preliminary Final Award(Supplytime 2017)

本船の技術的不具合による中断を含む用船関係終了後、当事者間で合意された未払残額について、傭船者が高額な反対請求を主張して支払いを拒めるかが争われた。 船主は、当事者間で未払用船料等を減額した上で、一定額を分割払いする和解合意が成立したと主張した。傭船者も和解合意の存在自体は争わなかったが、その範囲は不明確であり、代替船費用やプロジェクト遅延損害を反対請求できると主張した。仲裁廷は、請求書、クレジッ   続きを読む…

Skyros Maritime Corporation v Hapag-Lloyd AG(The Skyros and The Agios Minas)[2025] EWCA Civ 1529

定期傭船者が本船を期限後に返船したものの、船主は既に本船を第三者へ売却しており、適時に返船されても再傭船する予定がなかった場合、船主が市場用船料と契約用船料との差額を損害として請求できるかが争われた。 第一審は、船主には再傭船の機会がなく、現実の逸失利益も生じていないため、通常の市場差額損害は認められないと判断した。また、契約用船料が定められている以上、量的報酬、使用利益損害又は仮想的な交渉額に基   続きを読む…

Sino East Transportation Ltd v Grand Amazon Shipping Ltd [2025] EWHC 1990 (Comm)

内在的欠陥のある大豆貨物について中国裁判所が船主に誤って損害賠償責任を認めた場合、船主が定期傭船者に黙示の補償を請求できるかが争われた。船主は、中国での貨物損害訴訟により一定額の賠償金と費用を支払い、その全額について、傭船者の積荷・航海指図から生じた損失であるとして補償を求めた。 裁判所は、傭船者の指図に従った結果、第三者に対する予想外の責任を負った場合、船主がその損失を負担することを契約上引き受   続きを読む…

Bunge SA v Pan Ocean Co Ltd (The “Sagar Ratan”) [2025] EWHC 193 (Admlty)

定期用船中の本船が中国・営口港で乗組員4名の新型コロナ感染により入港を拒否され、韓国・蔚山へ航行して乗組員を交代したため生じた遅延期間について、オフハイヤーとなるかが争われた事案である。用船者は2022年3月31日から4月14日までの傭船料等を控除し、仲裁廷は用船者の主張を認めたため、船主が法律問題として上訴した。 裁判所は、BIMCO感染症条項にいう「Affected Area」とは、疾病を理由   続きを読む…

Hapag-Lloyd AG v Skyros Maritime Corporation and Another [2024] EWHC 3139 (Comm)

定期用船契約上の最終返船期限を、それぞれ約2日及び約7日超過して本船が返還されたことについて、船主が市場傭船料と契約傭船料との差額を損害として請求できるかが争われた事案である。返船時の市場料率は契約料率を大きく上回っていたが、両船は既に第三者へ売却されており、期限どおり返還されても再用船されず、買主へ直ちに引き渡される予定であった。 仲裁廷は、船主が市場価格相当額を不当利得、使用利益損害又は交渉損   続きを読む…

O v C [2024] EWHC 2838 (Comm)

用船者が米国OFACの制裁対象者リストに掲載された後、船主がナフサ貨物の引渡しを拒否し、仲裁法44条に基づいて貨物の売却及び売却代金の保管方法を求めた事案である。用船者は売却自体には反対しなかったが、代金は通常どおり裁判所へ払い込むべきと主張し、船主は米国制裁違反の危険を理由にOFACの許可を得た凍結口座への入金を求めた。 裁判所は、貨物を船上に留置し続ければ、船主は本船を他の用途に使用できず、タ   続きを読む…

SFL Ace 2 Co Inc v DCW Management Ltd (formerly Allseas Global Management Ltd) [2024] EWHC 1877 (Comm)

コンテナ船Green Aceの定期用船契約について、用船者Allseasが契約履行を拒絶したため、船主が親会社AGMLに対し、電子メールで合意された保証に基づき損害賠償を請求した事案である。契約書及び保証書は正式には署名されていなかったが、仲介業者を通じた交渉では、船主が親会社保証を要求し、最終リキャップにより全条件が解除され「clean fixed」と確認されていた。 裁判所は、メールの客観的解   続きを読む…

Southeaster Maritime Ltd v Trafigura Maritime Logistics Pte Ltd (The MV Aquafreedom) [2024] EWHC 255 (Comm)

タンカーAquafreedomの定期用船交渉において、リキャップ送付後に「Charterers’ management approval」及び「terms subject review both sides」とのsubjectが残されていたにもかかわらず、Trafiguraが拘束力ある用船契約が成立したと主張した事案である。 裁判所は、海運実務における「subject」は、契約成立前の   続きを読む…

Herculito Maritime Ltd v Gunvor International BV (The Polar) [2024] UKSC 2

ソマリア海賊に拿捕されたPolarの解放のため支払われた身代金について、船主側保険者が貨物関係者に共同海損分担金を請求できるかが争われた事案である。用船契約では、アデン湾航行に必要な追加戦争保険料及び誘拐・身代金保険料を用船者が負担していた。貨物側は、この保険料負担条項により、当事者は損失を保険者に負担させる「保険コード」を設けたのであり、船主側保険者には代位請求権がないと主張した。 最高裁は、契   続きを読む…

Marchand Navigation Co v Olam Global Agri Pte Ltd and Another [2023] SGHC 339

定期用船者Sincoが支払うべき燃料代を船主Marchandが立替払いした後、Sincoが航海用船者Olamに対して有する滞船料債権について、NYPE第18条に基づく船主の先取特権が及ぶかが争われた事案である。OlamはSincoに19万112米ドルの滞船料を負担していたが、MarchandとSincoの双方から支払を求められたため、その帰属が問題となった。 裁判所は、第18条が「本用船契約に基づ   続きを読む…

Mercuria Energy Trading Pte v Raphael Cotoner Investments Ltd (The Afra Oak) [2023] EWHC 2978 (Comm)

定期用船中のAfra Oakが、用船者から「Singapore EOPLで待機せよ」との指示を受けたにもかかわらず、インドネシア領海内に錨泊したため同国海軍に拿捕・抑留されたことについて、船主がヘーグ・ルール4条2項(a)の航海過失免責を主張できるかが争われた事案である。仲裁廷は、用船者の指示は安全なSingapore EOPLで待機する趣旨であり、インドネシア領海内での錨泊を許容するものではなか   続きを読む…

Smart Gain Shipping Co Ltd v Langlois Enterprises Ltd (The Globe Danae) [2023] EWHC 1683 (Comm)

定期用船中に船体へ海洋生物が付着し、返船後に船主が水中清掃を実施した場合、用船契約上「always at Charterers’ time and expense」とされた清掃時間について、船主が実際の逸失用船料を立証せずとも用船料率で請求できるかが争われた事案である。Globe Danaeはブラジルで約42日間停泊し、返船後に船体・プロペラの水中清掃が約30時間行われた。用船者は、返   続きを読む…

Seven Seas Transportation Ltd v Pacifico Union Marina Corpn (The Oceanic Amity and Satya Kailash) [1984] 1 Lloyd’s Rep

Satya Kailashの軽荷作業のためNYPEフォームで用船されたOceanic Amityが、作業中の過失ある操船によりSatya Kailashを損傷させたことについて、用船契約に取り込まれた米国COGSAの免責規定及び「errors of navigation」条項の適用が争われた事案である。 控訴院は、米国COGSAが用船契約に明示的に取り込まれた場合、船荷証券契約にのみ適合する部分は   続きを読む…

Minerva Navigation Inc v Oceana Shipping AG (The “Athena”) [2013] EWCA Civ 1723

定期用船中の本船Athenaが、用船者からベンガジ沖へ向かうよう指示されたにもかかわらず、船主の指示により約10.94日間、公海上で漂流した期間について、NYPE書式15条に基づきオフハイヤーとなるかが争われた事案である。仲裁廷は、用船者の指示は有効であり、船長の不履行は契約違反であるとした一方、本船が直ちにベンガジへ向かっても、実際より早く着岸・揚荷できなかったため、用船者には最終的な遅延損害が   続きを読む…

Whistler International Ltd v Kawasaki Kisen Kaisha Ltd (The Hill Harmony) [2001] 1 AC 638

NYPEフォームによる定期用船中、用船者がOcean Routesの推奨に従い北方の大圏航路を航行するよう指示したにもかかわらず、船長がより南方のrhumb line routeを選択したため、航海時間及び燃料消費が増加したことについて、船主の契約違反及び航海過失免責の成否が争われた事案である。 貴族院は、NYPE8条の「utmost despatch」及び用船者のemploymentに関する指図   続きを読む…