Oceanus Capital Sarl v Lloyd’s Insurance Co SA(The Vyssos)[2026] EWCA Civ 863

船主がTrading Warrantyに違反して本船をウクライナ領海へ航行させ、機雷により全損となった場合、抵当権者がMortgagee’s Interest Insurance(MII)に基づき保険金を請求できるかが争われた。 保険者は、追加戦争危険保険のカバーノートが偽造であったことが損失の近因であり、MIIが担保する危険には当たらないと主張した。 しかし控訴院は、MIIは抵当権者自身の本船に   続きを読む…

Cometsambre SA v Lloyd’s Insurance Company SA [2026] EWHC 1837 (Comm)

スクラップ貨物の火災について傭船者責任保険の補償を求めたCometsambreに対し、保険者が過去の複数の火災の不告知を理由として2022年保険契約を取り消せるかが争われた。 裁判所は、2020年から2021年にかけて、船上火災3件と岸壁上の火災2件が短期間に発生していたことは、慎重な保険者が引受判断に際して考慮する重要な事情であったと判断した。実際に保険請求へ発展していない火災や、船積前の岸壁火   続きを読む…

Mamancochet Mining Ltd v Aegis Managing Agency Ltd [2018] EWHC 2643 (Comm)

海上貨物保険の保険者が、制裁条項を理由として、イラン向け貨物の盗難損害に対する保険金支払を拒否できるかが争われた。 制裁条項は、保険金の支払が保険者を制裁、禁止又は制限に「さらす」範囲で、保険者は支払義務を負わないと定めていた。裁判所は、保険者が支払を拒否するには、保険金支払が実際に適用法令上禁止されていることを、蓋然性の均衡により立証しなければならないと判断した。制裁当局が誤って違反と判断する可   続きを読む…

Argoglobal Underwriting Asia Pacific Pte Ltd v OCBC [2026] SGCA 14

曳航中に転覆したTeras Lyzaについて、損失が海上固有の危険によるものか、また、推定全損が成立するかが争われた。 控訴院は、海水流入が突然かつ予期せず発生しただけでは、海上固有の危険は立証されないと判断した。被保険者は、海水流入を生じさせた偶発的な事故を蓋然性の均衡により立証する必要がある。原因不明のまま船舶が失踪した場合などには海上固有の危険を推定できるが、この推定は、船舶が堪航性を備え、   続きを読む…

Oceanus Capital Sarl v Lloyd’s Insurance Co SA (The Vyssos) [2025] EWHC 3293 (Comm)

船主が戦争保険のTrading Warrantyに違反してウクライナ領海へ航行した結果、機雷により全損となった場合、抵当権者保険(Mortgagee’s Interest Insurance:MII)の保険金が支払われるかが争われた。 船主は追加戦争危険保険を手配したと抵当権者に説明したが、そのカバーノートは偽造であり、船主保険はTrading Warranty違反を理由に保険金支払を   続きを読む…

MS Amlin Marine NV v King Trader Ltd [2025] EWCA Civ 1387

被保険者である傭船者が倒産した場合でも、第三者請求者が保険者に直接請求するためには、まず被保険者自身が損害賠償額を支払っていることを求める「pay to be paid」条項に従う必要があるかが争われた。 第三者請求者は、保険契約の基本的な補償条項とpay to be paid条項は矛盾しており、補償条項を優先すべきであると主張した。しかし控訴院は、保険金請求権自体は責任確定時に発生するものの、そ   続きを読む…

Oversea-Chinese Banking Corporation Ltd v Argoglobal Underwriting Asia Pacific Pte Ltd and Others [2025] SGHC 82

曳航中に転覆したTeras Lyzaについて、抵当権者OCBCが船体保険に基づき全損保険金を請求できるかが争われた。 裁判所は、船体の回収・保全費用と修理費用が保険価額を超えることから、constructive total lossが成立すると判断した。また、転覆は予期しない海水流入によるもので、通常の老朽化や船体の固有の欠陥ではなく、perils of the seasによる損害とされた。保険者   続きを読む…

MS Amlin Marine NV v King Trader Ltd and Others [2024] EWHC 1813 (Comm)

用船者BMCが船舶Solomon Traderの座礁事故により船主らに多額の損害賠償責任を負った後に倒産したため、船主らが2010年第三者(保険者に対する権利)法に基づき、BMCの責任保険者へ直接請求した事案である。保険契約には、被保険者が第三者に対する責任を先に支払うことを保険金請求の前提条件とする「pay to be paid」条項が含まれていた。 裁判所は、同条項は倒産した被保険者から権利を   続きを読む…

MOK Petro Energy FZC v Argo (No 604) Ltd and Others [2024] EWHC 1935 (Comm)

ガソリン貨物がイエメン到着後に規格外として受入れを拒否されたことから、被保険者MOKが貨物保険に基づき損害填補を求めた事案である。MOKは、航海中に船舶タンク又は配管内の水分が混入し、メタノールを含むガソリンが相分離して損傷したと主張した。これに対し再保険者らは、貨物は積込前から規格外であり、保険事故による損傷はなかったと争った。 裁判所は、貨物が偶然な事故により損傷したことを立証する責任はMOK   続きを読む…

London Steam-Ship Owners’ Mutual Insurance Association Ltd v Trico Maritime (Pvt) Ltd and Others [2024] EWHC 884 (Comm)

コンテナ船X-Press Pearlの沈没事故について、貨物関係者らがスリランカで船主及びP&Iクラブに対する直接請求を提起したため、クラブが英国裁判所に対し、スリランカ訴訟の差止め及び「pay to be paid」条項の効力確認を求めた事案である。クラブ規則は英国法を準拠法とし、紛争をロンドン仲裁に付すとともに、被保険者が先に第三者へ支払うことを保険金請求の前提としていた。 裁判所は、   続きを読む…

Great Lakes Reinsurance (UK) plc v RAV Bahamas Ltd [2024] UKPC 11

バハマのマリーナに係留されていたモーターヨットRum N’Cokeが、所有者の関係者を装った者に持ち去られたため、保険金を支払った保険者Great Lakesが、代位によりマリーナ運営者RAVに損害賠償を求めた事案である。RAVは引渡しに際して来訪者の身元を確認していなかったが、係留契約では、盗難を含むあらゆる原因から船舶を保護する責任は所有者側にあると定められていた。 枢密院は、RA   続きを読む…

Delos Shipholding SA and Others v Allianz Global Corporate and Specialty SE and Others [2024] EWHC 719 (Comm)

インドネシア領海内に無許可で錨泊した船舶Win Winが同国海軍に約11か月間拘束されたため、船主らが戦争・政治リスク保険に基づき、推定全損として保険金を請求した事案である。保険者は、拘束は船長らの自発的行為によるもので偶然性がないこと、約款上の免責事由に該当すること、船主らの対応が拘束を長期化させたこと、及び重要事項の不告知を主張した。 裁判所は、船長らは錨泊地点がインドネシア領海内であることを   続きを読む…