Trans Trade RK SA v Sebat Shipping and Trading Co [2026] EWHC 1761 (Comm)

燻蒸後の大麦貨物から高濃度のホスフィンガスが検出され、揚荷開始まで約2か月半の遅延が生じた事案について、船主の代替的な損害賠償請求を仲裁廷へ差し戻すべきかが争われたものである。先行判決は、船主が提出したNORが無効であったため、レイタイムは開始せず、デマレージ請求は成立しないとして仲裁判断を変更した。これを受け、船主は、用船契約11条に基づく燻蒸による時間損失及び後続契約の逸失利益請求を再検討させるため、仲裁判断の差戻しを求めた。

裁判所は、法律問題に関する上訴が認められた場合でも、差戻しが当然に行われるわけではないとした。追加の事実認定が必要な場合、上訴判断によって仲裁廷の請求棄却理由が崩れた場合等には差戻しが適切となり得るが、仲裁で主張されなかった新たなケースを提出するための差戻しや、差し戻しても結論が変わらない場合には認められない。

本件では、11条に基づく請求が通常のデマレージ請求と実質的に異ならないのであれば、再検討すべき事項は存在しない。他方、別個の請求であるなら、船主はその棄却判断について自ら仲裁法69条による上訴を行う必要があったとされた。

また、仲裁判断を別の理由で維持しようとする場合、被上訴人は所定期間内にRespondent’s Noticeを提出し、その代替的根拠を明示しなければならない。船主はその手続を取っていなかったため、後から差戻しによって別の根拠を審理させることはできないとして、差戻し申立ては棄却された。