Transatlantica Commodities Pte Ltd v EuroChem Trading GmbH [2026] EWHC 1494 (Comm)

COAに基づく10月積みの第三船について船主が契約どおりの本船を手配できず、傭船者が代替船を手配した後、11月に別の船積みが行われたことをもって、第三船の遅延履行と評価できるかが争われた。船主は、11月のFriedrich Schulteによる船積みは、10月に予定されていた第三船の遅延履行にすぎず、傭船者は契約価格と代替船市場価格との差額を請求できないと主張した。 裁判所は、COA上の各船積み義   続きを読む…

Winson Oil Trading Pte Ltd v United Overseas Bank Ltd/The Maersk Katalin [2025] SGCA 42

船主が船荷証券の提示を受けずに貨物を引き渡した後、後日その船荷証券を取得した融資銀行が、船主に誤渡し責任を追及できるかが争われた。 船主は、銀行が貨物引渡後に船荷証券を取得したにすぎず、実際には船荷証券や貨物を担保として重視していなかったため、訴権を取得していないと主張した。控訴院は、船荷証券が有効に裏書・交付され、銀行が善意の所持人となった以上、COGSA 1992に基づく契約上の権利は銀行に移   続きを読む…

Batavia Eximp & Contracting (S) Pte Ltd v Pedregal Maritime SA(The Taikoo Brilliance)[2025] EWHC 1878 (Comm)

貨物誤渡し請求について、船舶差押えによる担保取得がHague-Visby Rules上の「訴えの提起」に当たるか、また甲板積み貨物にも1年の出訴期限が適用されるかが争われた。 貨物受取人は、ロンドン仲裁を開始する前にシンガポールで姉妹船を差し押さえ、担保を取得していた。しかし裁判所は、この手続は請求の実体を判断するものではなく、担保確保のみを目的としていたため、「suit」とはいえないと判断した。   続きを読む…

COSCO Shipping Specialized Carriers Ltd v PT OKI Pulp & Paper Mills and Others [2024] SGCA 50

貨物船Le Liがインドネシアの港湾施設を離岸後、桟橋へ通じる橋梁に接触して損傷させた事故について、荷送人兼施設運営者であるOKIがインドネシアで提起した不法行為訴訟を、船荷証券に取り込まれたシンガポール仲裁条項に反するとして差し止められるかが争われた事案である。第一審は、橋梁損傷請求は船荷証券とは独立した純粋な不法行為請求であり、仲裁条項の対象外として差止めを拒否した。 控訴院はこれを覆し、外国   続きを読む…

FIMBank plc v KCH Shipping Co Ltd [2024] UKSC 38

ばら積み石炭が船荷証券の呈示なしに荷揚げ後の保管場所から引き渡されたとして、船荷証券を担保として保有していた銀行が運送人に誤渡し責任を追及したところ、ヘーグ・ヴィスビー・ルール第3条6項の1年間の出訴期限が、荷揚げ完了後の誤渡しにも適用されるかが争われた事案である。銀行が仲裁を開始したのは貨物引渡しから1年以上経過した後であった。 最高裁は、同条の期間制限は荷揚げまでの事故に限定されず、荷揚げ後、   続きを読む…

AMS Ameropa Marketing and Sales AG and Another v Ocean Unity Navigation Inc (The Doric Valour) [2024] EWCA Civ 1312

運送人の過失により大豆貨物の一部が損傷し、買主が損傷貨物を拒絶した後、売主が買主に発行したクレジットノートを、運送人に対する損害賠償額から控除すべきかが争われた事案である。買主Oilexは船荷証券の適法な所持人であり、その後、運送人に対する請求権を売主に譲渡していた。 控訴院は、貨物損害に関する通常の損害額は、到着時における健全貨物の価値と損傷貨物の実価との差額により算定されるとした。その上で、買   続きを読む…

United Overseas Bank Ltd v Owner and/or Demise Charterer of the Vessel “Maersk Katalin” [2024] SGHC 282

船主が原本船荷証券の呈示を受けずに軽油貨物を荷受人側へ引き渡したことについて、その後に船荷証券を取得した融資銀行UOBが誤渡し責任を追及した事案である。船主は、用船契約上、補償状(LOI)と引換えに船荷証券なしで荷揚げする義務があったこと、UOBがこれに同意又は追認したこと、UOBに訴権がないこと、及び誤渡しと損失との因果関係がないことを主張した。 裁判所は、LOIと引換えに貨物を引き渡すとの用船   続きを読む…

Stournaras Stylianos Monoprosopi EPE v Maersk A/S [2024] EWHC 2494 (Comm)

銅線を購入した荷受人が、実際にはコンクリートブロックが詰められていたコンテナについて、運送人Maerskが申告重量と実測重量の大幅な相違を把握しながら無故障船荷証券を発行したとして損害賠償を求めた事案である。船荷証券には荷送人申告の重量が記載されていたが、「weight unknown」との文言も付されていた。 裁判所は、ヘーグ・ルール第3条3項(c)の「貨物の外観上の状態」は、合理的な外観検査で   続きを読む…

Maersk A/S v Allianz Seguros y Reaseguros SA (Joined Cases C-345/22 and C-347/22); Mapfre España Compañía de Seguros y Reaseguros SA v MACS Maritime Carrier Shipping GmbH & Co (Case C-346/22)

貨物損害について荷主の権利を代位取得した保険者がスペイン裁判所で運送人を訴えたところ、船荷証券に英国裁判所を専属管轄とする条項が含まれていたため、当該条項が船荷証券の第三取得者にも対抗できるかが争われた事案である。スペイン法は、第三取得者が船荷証券上の権利義務を承継しても、裁判管轄条項については個別かつ別途の合意がない限り拘束されないと定めていた。 EU司法裁判所は、ブリュッセルI bis規則25   続きを読む…

COSCO Shipping Specialized Carriers Co Ltd v PT OKI Pulp & Paper Mills and Others [2024] SGHC 92

船舶Le Liがインドネシアの港湾施設から離岸した直後にトレッスル橋へ衝突し、橋の一部を崩壊させた事故について、橋の所有者OKIがインドネシアで提起した不法行為訴訟を、船主CSSCが船荷証券中のシンガポール仲裁条項に反するとして差し止めようとした事案である。 船荷証券には、ヘッドCOAの英国法準拠・シンガポール仲裁条項が組み込まれていた。もっとも、裁判所は、OKIの請求は貨物の運送や船荷証券上の義   続きを読む…

Owners of or Other Persons Interested in the Cargo Lately Laden Onboard Jeil Crystal v Owners of the Vessel Jeil Crystal (The Jeil Crystal) [2024] SGHC 74

銀行BCGEが貿易金融の担保として取得した船荷証券について、運送人が別の船荷証券へ切り替えたことにより担保価値を失ったとして、船主に損害賠償を求めた事案である。BCGEは当初の船荷証券上の荷受人であったが、切替え前にこれを買主GPGへ裏書・交付していた。その後、当初の船荷証券は回収・無効化され、新たな船荷証券が発行された。 裁判所は、船荷証券上の契約請求権を行使できるのは、訴訟提起時にその適法な所   続きを読む…

Carmichael Rail Network Pty Ltd v BBC Chartering Carriers GmbH & Co KG (The BBC Nile) [2024] HCA 4

南オーストラリア州からクイーンズランド州へ海上輸送された鋼製レールが航海中に損傷したことについて、船荷証券中の英国法準拠・ロンドンLMAA仲裁条項が、オーストラリアの国内州間運送に適用される強行的な海上物品運送法制に反して無効となるかが争われた事案である。 船荷証券には英国法準拠及びロンドン仲裁条項が置かれていたが、本件運送にはCarriage of Goods by Sea Act 1991に基   続きを読む…

AMS Ameropa Marketing Sales AG and Another v Ocean Unity Navigation Inc [2023] EWHC 3264 (Comm)

Doric Valourでルイジアナからエジプトへ運送された大豆貨物の一部が、隣接する燃料油タンクの過熱により損傷したとして、売主及び貨物保険者が運送人に損害賠償を求めた事案である。揚荷時の船荷証券の適法な所持人は買主Oilexであったが、その後、Oilexは運送契約上の請求権を売主に譲渡した。 裁判所は、貨物保険者である第2原告には独自の請求権がないとした一方、売主である第1原告には、Oilex   続きを読む…

Star Axe I LLC v Royal and Sun Alliance Luxembourg SA and Others [2023] EWHC 2784 (Comm)

Congenbill 1994形式の船荷証券における「共同海損はYork-Antwerp Rules 1994又はその後の修正に従う」との条項が、2016年版York-Antwerp Rules(YAR 2016)まで取り込むかが争われた事案である。Star Antaresが航海中に水中の物体へ接触したため共同海損が宣言され、船主はYAR 1994の適用を、貨物保険者はYAR 2016の適用を主張   続きを読む…

Poralu Marine Australia Pty Ltd v MV Dijksgracht – [2023] FCAFC 147, Federal Court of Australia Full Court (Justice Rares, Justice Sarah Derrington and Justice Feutrill) – 8 September 2023

アイルランドから豪州へ運送されたポンツーン貨物の損傷について、運送契約がいつ、どの文書によって成立したか、また適用される責任制限制度がヘーグ・ルール、ヘーグ・ヴィスビー・ルール又は豪州改正ヘーグ・ルールのいずれであるかが争われた事案である。第一審は、後日発行されたbooking noteが契約書であり、そこに定める1梱包100ポンドの責任制限が適用されるとした。 連邦裁判所合議体はこれを一部覆し、   続きを読む…

JB Cocoa Sdn Bhd and Others v Maersk Line AS [2023] EWHC 2203 (Comm)

ナイジェリアからマレーシアへ運送されたカカオ豆が、揚荷後コンテナ内に長期間留置された結果、結露及びカビによる損傷を受けたとして、貨物関係者がMaerskに損害賠償を求めた事案である。裁判所は、貨物は船積時には良好な状態であり、損傷は揚荷後からデバンニングまでの長期コンテナ保管によって生じたと認定した。 JB Cocoaについては、損傷発生時に貨物の所有権又は占有権原を有していたことを立証できず、不   続きを読む…

FIMBank plc v KCH Shipping Co Ltd – [2023] EWCA Civ 569, Court of Appeal, (Lord Justice Males, Lord Justice Popplewell and Lord Justice Nugee) – 24 May 2023

ばら積み石炭が揚荷後、船荷証券の呈示なしに第三者へ引き渡されたとして、船荷証券を担保として保有していたFIMBankが運送人KCHに誤渡し責任を追及した事案である。問題は、ヘーグ・ヴィスビー・ルール3条6項の1年間の出訴期間が、船舶からの揚荷後に発生した誤渡しにも適用されるかであった。 控訴院は、ヘーグ・ルール一般の適用期間自体は原則として積込みから揚荷までであるとしつつ、ヘーグ・ヴィスビー・ルー   続きを読む…