UBS AG v Owner of the Vessel “Chloe V”; Koch Shipping Pte Ltd (intervening) [2025] SGHC 142 – High Court of Singapore (Justice S Mohan) – 28 July 2025

融資銀行が新たな定期傭船契約を承認しつつ、傭船者に対するLetter of Quiet Enjoyment(LQE)の発行を拒否したことが、抵当権者としての裁量権濫用に当たるかが争われた。船主は、融資契約の条項により銀行には傭船契約を承認する裁量があり、その裁量には合理的かつ誠実に行使すべきBraganza義務が伴うため、LQEの拒否は不当であると主張した。 裁判所は、当該条項は、一定の傭船契約を   続きを読む…

Da Hui Shipping (Pte) Ltd v An Rong Shipping Pte Ltd [2025] SGCA 30

共同借入人の一方が銀行債務を自己の負担割合を超えて返済した場合、他方の共同借入人に対する求償権に加え、既に実行・消滅した船舶抵当権に代位して船舶売却代金から優先弁済を受けられるかが争われた。 裁判所は、共同債務者が自己の公平な負担割合を超えて返済した場合、他の共同債務者に対する求償権を有すること自体は認めた。しかし、本件では、銀行の抵当権は既に船舶の差押え・裁判上の売却によって実行され、売却代金に   続きを読む…

Natixis, Singapore Branch v Rajagopalan and Others [2025] SGCA 29

シンガポールで対物訴訟を提起していた銀行らが、船舶をジブラルタルで差し押さえ・競売した司法管理人らに対し、自己の権利を不当に消滅させたとして責任追及できるかが争われた。 控訴院は、対物訴状の発行により生じるstatutory lienは、直ちに船舶上の完全な担保権となるものではなく、差押えによって担保を取得するための先行的権利にすぎないとした。実際に船舶上の担保的地位を得るのは、原則として差押えが   続きを読む…

Da Hui Shipping (Pte) Ltd v An Rong Shipping Pte Ltd [2024] SGHC 166

Da Hui Shipping(DH)とAn Rong Shipping(AR)が共同借入人として銀行から借り入れ、各社所有船3隻に抵当権を設定した後、債務不履行により全船が売却され、DHが自己の負担割合を超えて返済したとして、清算中のARに対する分担請求及び銀行の抵当権への代位を求めた事案である。 裁判所は、共同債務者の一方が自己の公平な負担割合を超えて債務を弁済した場合、他の共同債務者に超過分   続きを読む…

Owners of or Other Persons Interested in the Cargo Lately Laden Onboard Jeil Crystal v Owners of the Vessel Jeil Crystal (The Jeil Crystal) [2024] SGHC 74

銀行BCGEが貿易金融の担保として取得した船荷証券について、運送人が別の船荷証券へ切り替えたことにより担保価値を失ったとして、船主に損害賠償を求めた事案である。BCGEは当初の船荷証券上の荷受人であったが、切替え前にこれを買主GPGへ裏書・交付していた。その後、当初の船荷証券は回収・無効化され、新たな船荷証券が発行された。 裁判所は、船荷証券上の契約請求権を行使できるのは、訴訟提起時にその適法な所   続きを読む…

KfW IPEX-Bank GmbH v Owner of the Vessel “World Dream” [2024] SGHC 56

大型クルーズ船World Dreamの司法売却後、船内のスロットマシンやカジノテーブル等のゲーム設備が船舶抵当権の対象に含まれるかが争われた事案である。船主側は、別船の抵当契約では「gaming equipment」が明記されていたのに対し、本船の抵当契約には明記されていないため、ゲーム設備は一般債権者に帰属すると主張した。 裁判所は、まず、船主側が対象となるゲーム設備を十分具体的に特定していない   続きを読む…

Eurobank SA v Momentum Maritime SA and Others [2024] EWHC 210 (Comm)

船舶3隻を担保として約1,200万米ドルを融資した銀行Eurobankが、借入人らの返済不履行後、残債の支払を求めた事案である。担保船のうち2隻はジブチで多数の債権者により差し押さえられ、その後、港湾当局による私的売却を経て解撤された。借入人らは、銀行が担保船の処分に関与し、適正な市場価格を得る義務に違反したと主張した。 裁判所は、銀行が行ったのは、既に多数の差押えを受けていた本船を追加的に差し押   続きを読む…