Hapag-Lloyd AG v Skyros Maritime Corporation and Another [2024] EWHC 3139 (Comm)

定期用船契約上の最終返船期限を、それぞれ約2日及び約7日超過して本船が返還されたことについて、船主が市場傭船料と契約傭船料との差額を損害として請求できるかが争われた事案である。返船時の市場料率は契約料率を大きく上回っていたが、両船は既に第三者へ売却されており、期限どおり返還されても再用船されず、買主へ直ちに引き渡される予定であった。

仲裁廷は、船主が市場価格相当額を不当利得、使用利益損害又は交渉損害として回収できると判断した。しかし裁判所は、当事者間には超過期間中も契約傭船料を支払う明示的合意があるため、契約外の合理的報酬請求は成立しないとした。本船は終始船主の占有下にあり、乗組員を通じて用船者にサービスを提供していたため、無権限の財産使用に対する使用利益損害にも当たらない。

交渉損害についても、期限内返船義務は、知的財産権等のような経済的価値を有する資産を保護する権利ではなく、本件では期限内返船自体に船主の経済的価値がなかったため認められない。損害賠償の基本は、契約が履行されていれば置かれた状態を回復することであるところ、船主は自ら船舶を売却し、再用船による市場利益を得る可能性を失わせていた。したがって、船主には市場傭船料を得る機会の喪失はなく、実損も認められないとして、名目的損害賠償のみが認容された。