FIMBank plc v KCH Shipping Co Ltd [2024] UKSC 38

ばら積み石炭が船荷証券の呈示なしに荷揚げ後の保管場所から引き渡されたとして、船荷証券を担保として保有していた銀行が運送人に誤渡し責任を追及したところ、ヘーグ・ヴィスビー・ルール第3条6項の1年間の出訴期限が、荷揚げ完了後の誤渡しにも適用されるかが争われた事案である。銀行が仲裁を開始したのは貨物引渡しから1年以上経過した後であった。

最高裁は、同条の期間制限は荷揚げまでの事故に限定されず、荷揚げ後、正当な引渡しが行われるまでの誤渡し請求にも適用されると判断した。旧ヘーグ・ルールの「いかなる場合にも」「損失又は損害に関するすべての責任」との文言自体が広範であり、同条全体が「delivery」を基準としていることから、荷揚げ後の保管・引渡し段階も含まれるとされた。期間制限の目的は、一定期間後に運送人の責任を最終的に確定し、帳簿を閉じられるようにする点にあり、同一の事実に基づく契約、不法行為及び誤渡し請求の一部だけを適用対象外とすることは、その目的に反するとされた。

ヘーグ・ヴィスビー・ルールでは、「貨物に関する一切の責任」とのより広い文言及び契約責任・不法行為責任の双方に抗弁を適用する第4条の2からも、誤渡し請求が対象となることが明確であるとされた。

また、CongenbillのClause 2(c)は、荷揚げ後の貨物損害について運送人を保護する条項であり、運送人から出訴期限の利益を奪う趣旨とは解されない。同条はヘーグ・ヴィスビー・ルールや期間制限に言及せず、誤渡し責任自体を排除するほど明確でもなかった。したがって、同条によって1年の期間制限が排除されることはなく、銀行の請求は時効により消滅した。