Zenrockによる原油取引の二重金融・価格偽装に関連し、信用状発行銀行CACIBが、受益者PPTへの信用状代金の支払を拒めるか、またPPTが提出した補償状(LOI)に基づきCACIBが損害賠償を請求できるかが争われた事案である。Zenrockは、実際より高額に改ざんした転売契約をCACIBに提示して信用状を取得していたが、PPT自身がその詐欺に加担したとは認められなかった。
国際商事控訴裁判所は、信用状は基礎となる売買契約から独立した取引であり、発行依頼人であるZenrockに詐欺があっても、受益者PPT自身が信用状取引において詐欺的書類を提示していない限り、銀行は支払を拒むことができないとした。受益者が発行依頼人と銀行との関係を調査しなければ支払を受けられないとすれば、信用状の独立性を著しく害するためである。したがって、信用状に関するCACIBの控訴は棄却された。
他方、LOIについては、第一審と異なり、その効力は発行時から生じ、CACIBが支払期日に支払わなかったことによって保証条項が失効するものではないとされた。そしてPPTは、所有権自体を取得していたとしても、本件取引の異常性を認識し得る立場にあり、詐欺について善意の第三者とはいえなかったため、「marketable title」を有しているとの保証に違反したと判断された。
その結果、PPTはLOI違反についてCACIBに対する賠償責任を負い、CACIBが本来受領できたTOTSAからの代金と、その後の和解による回収額との差額である1,031万9,470.81米ドルが損害として認められた。