AMS Ameropa Marketing and Sales AG and Another v Ocean Unity Navigation Inc (The Doric Valour) [2024] EWCA Civ 1312

運送人の過失により大豆貨物の一部が損傷し、買主が損傷貨物を拒絶した後、売主が買主に発行したクレジットノートを、運送人に対する損害賠償額から控除すべきかが争われた事案である。買主Oilexは船荷証券の適法な所持人であり、その後、運送人に対する請求権を売主に譲渡していた。

控訴院は、貨物損害に関する通常の損害額は、到着時における健全貨物の価値と損傷貨物の実価との差額により算定されるとした。その上で、買主が売買契約上、売主から受けた返金や補償は、原則として運送人の違反による損失とは独立した付随的利益であり、損害額から控除されないと判断した。この点は、損害が実際に回避された場合には賠償を認めないという一般原則の例外であるres inter alios actaの適用として説明された。クレジットノートの直接的原因は、運送人の契約違反ではなく、売主と買主との売買契約関係にあったためである。単に運送人の違反がなければ支払われなかったという事実だけでは、損害から控除すべき利益とはならない。

船荷証券所持人が貨物損傷時に既に訴権を有していたか、その後に取得したかは結論を左右しない。本件請求も、実際の転売損だけではなく、健全到着価値と損傷貨物価値との差額という通常の基準により算定されているる。したがって、クレジットノート相当額を控除する必要はなく、運送人の控訴は棄却された。