コンテナ船X-Press Pearlの火災・沈没事故に関連し、同船の積載スペースを利用して貨物を運送していたBengal Tiger、MSC及びMaerskが、1976年海事債権責任制限条約1条2項の「charterer」に該当し、責任制限を援用できるかが争われた事案である。同条は、船舶所有者のほか、用船者、管理者及び運航者を「shipowner」として責任制限の対象としている。
裁判所は、先例であるThe MSC Napoliに従い、船舶全体の使用権を有しないスロット用船者も、条約上の「charterer」に含まれると判断した。運送人として船荷証券を発行する者が責任制限を利用できなければ、船主に対しては制限額までしか求償できない一方、自らは荷主に対して無制限の責任を負い得ることとなり、条約の目的に反するためである。
Bengal Tigerは固定スロット契約により一定の積載スペースを確保していたため、典型的なスロット用船者に該当した。MSCについては、未使用スロットの料金支払義務がなかったものの、その違いは法的評価を左右しない。Maerskも、使用の有無にかかわらずスロット料を支払う契約ではなく、実際に行われたコンテナ運送についてのみ料金を支払う仕組みであったが、実質的には、自らの運送人としての契約義務を履行するために本船の積載スペースを借り受ける契約であった。したがって、3社はいずれも条約上の「charterer」及び「shipowner」に該当し、責任制限を申し立てる資格を有する。