Winch Design Ltd v Le Souef; Somnio Superyachts Pty Ltd (Third Party) [2025] EWHC 120 (Comm)

スーパーヨットの設計業務契約に基づく未払報酬について、契約当事者の特定、設計業務の履行前に支払義務が発生するか、及び支払猶予の口頭合意が成立したかが争われた事案である。

裁判所は、契約書上「Client」として明示されていたLe Souef個人が契約当事者であり、プロジェクト会社Somnioではないと判断した。契約文言は明確であり、背景事情によってこれをSomnioとの契約に読み替えることはできない。また、Somnioを契約当事者とする共通意思や、その旨の外部的な合意表明も認められず、契約書の訂正及び禁反言の主張も退けられた。

支払義務については、一般に仕事が履行されるまで報酬債権は発生しない場合があるものの、本件では契約上の支払日程と請求書発行後30日以内の支払義務が明確に定められていた。したがって、各請求額は業務の完了を待たずに確定債務となり、未払時にはWinchが業務を停止できる。Le Souefは自らの不払を理由にWinchの不履行を主張することはできず、損害の立証もなかった。さらに、夕食時に、第三者から資金調達できるまでWinchが請求又は訴訟を控えると約束したとの主張も、証拠上認められない。契約変更は書面によるとの条項も存在したため、支払猶予の合意は成立していない。以上により、Le Souefは未払額及び契約所定の利息を支払うべきものとされ、反訴は棄却された。