売船契約をめぐるLMAA仲裁において、売主選任仲裁人が売主代理人法律事務所から過去に複数回選任されていたことを十分に開示しなかったとして、見かけ上の偏見および重大な手続的不公正があるかが争われた。
裁判所は、偏見の判断基準は、公正かつ事情を知る観察者が、仲裁人に偏りがある現実的可能性を認めるかどうかであるとした。ただし、ロンドン海事仲裁では、限られた専門仲裁人と法律事務所の間で、無関係な案件について同じ仲裁人が繰り返し選任されることは通常の実務であるとされた。本件の仲裁人は、過去5年間の88件の選任中14件を当該法律事務所から受けていたが、その収入割合は約8%にとどまり、同事務所に経済的に依存しているとはいえない。また、同一又は重複する事案について複数選任されたHalliburton型の事例ではなく、原則として開示義務は生じない。仮に開示義務があったとしても、仲裁廷は一貫して公正かつ透明に手続を進め、仲裁人も照会に適切に回答していたため、見かけ上の偏見は認められない。裁判所は、申立人らが仲裁を妨げるために根拠の乏しい異議を繰り返したと厳しく指摘した。その結果、Arbitration Act 1996第68条に基づく仲裁判断取消しの申立ては棄却された。