CSL Australia Pty Ltd v Tasmanian Ports Corporation Pty Ltd (The Goliath) [2024] FCA 824

セメント運搬船Goliathがタスマニア州デボンポート港でタグボート2隻及び岸壁に衝突し、タグボートの沈没、油濁、岸壁損傷及び事業中断損害が発生したことから、船主CSLが1976年海事債権責任制限条約に基づく責任制限を主張できるかが争われた事案である。特に、沈没したタグボート及び流出油の撤去費用が責任制限の対象となるか、また港湾事業者TasPortsの標準約款によって責任制限権が排除されているかが問題となった。

裁判所は、Goliathの入港に際してTasPortsの標準約款が適用されると認定したが、同約款の一般的な権利排除条項は、船主の条約上の責任制限権を放棄させるほど明確ではないと判断した。責任制限制度から契約で離脱することは可能であるものの、そのためには明示的な文言が必要であり、本件条項にはそのような定めがなかった。また、豪州は条約2条1項(d)の沈没船撤去請求を国内法化していなかったが、撤去費用は、Goliathの運航に直接関連して生じたタグボートという他人の財産の損傷に伴う結果損害として、同項(a)にも該当する。各号には一定の重複があり、(d)に該当するからといって、同時に(a)の適用が排除されるものではない。条約の目的は海運事業者を破滅的責任から保護することにあり、文言上対象となる請求は広く責任制限に服させるべきであるとして、タグボート及び油濁の撤去・処分費用も責任制限の対象とされた。