買主Sharpが豆類の代金を支払わなかったため、売主Viterraが被った損害を、どの市場価格を基準に計算するかが問題となった。貨物はカナダからインドのムンドラ港に到着し、既に荷揚げ・通関され、倉庫に保管されていた。その後、インド政府が輸入関税を引き上げたため、貨物のインド国内での価格は大きく上昇していた。
仲裁廷は、損害額を、カナダのバンクーバーで同じ貨物を買い、そこからムンドラまで運ぶ費用を基準に計算した。しかし、この計算では、貨物が既にインドにあり、現地で高く売れる状態になっていたことが十分に反映されていなかった。
最高裁は、損害賠償は、契約違反によって売主が実際に失った利益を補うものであり、売主は合理的な方法で損害を減らすべきであるとした。本件では、Viterraは貨物をムンドラの倉庫からそのまま販売できたのであり、わざわざ国外へ再輸出したり、カナダから新たに同種貨物を調達したりするのは不合理である。したがって、損害額は、買主の債務不履行日である2018年2月2日時点の「ムンドラ倉庫渡し価格」を基準に計算すべきとされた。
また、控訴院は、当事者間の契約が途中で「倉庫渡し契約」に変更されたと判断していたが、その点は仲裁廷で争われておらず、仲裁判断にも事実認定がなかったため、最高裁はその判断を否定した。結論として、損害額はムンドラでの現地価格を基礎に再計算するよう、事件は仲裁廷へ差し戻された。