Delos Shipholding SA and Others v Allianz Global Corporate and Specialty SE and Others [2024] EWHC 719 (Comm)

インドネシア領海内に無許可で錨泊した船舶Win Winが同国海軍に約11か月間拘束されたため、船主らが戦争・政治リスク保険に基づき、推定全損として保険金を請求した事案である。保険者は、拘束は船長らの自発的行為によるもので偶然性がないこと、約款上の免責事由に該当すること、船主らの対応が拘束を長期化させたこと、及び重要事項の不告知を主張した。

裁判所は、船長らは錨泊地点がインドネシア領海内であることを認識しておらず、拘束という結果も予想していなかったと認定した。航海計画の確認不足は過失ではあるが、単なる過失は保険事故の偶然性を失わせない。従来多数の船舶が同海域に問題なく錨泊しており、拘束は必然的な結果でもなかったため、保険事故に該当するとされた。

また、「税関又は検疫規則及びこれらに類似する拘束」の免責条項は、拘束の目的が税関・検疫規制と実質的に同じ場合に限られる。本件拘束は領海への無許可進入を理由とするもので、輸出入管理や検疫とは関係がなく、免責条項は適用されない。船主らが当局との交渉を試みたことも不合理ではなく、賄賂要求と判明した時点で交渉を打ち切っていたため、損害拡大防止義務違反も否定される。取締役に対する過去の刑事告発についても、その人物は会社経営や保険手配に実質的に関与しておらず、会社に開示義務の前提となる知識はなかった。以上から保険金請求は認められ、推定全損額ら残存価値を控除した額と、合理的な救助・防損費用の支払が命じられた。