ばら積み石炭が揚荷後、船荷証券の呈示なしに第三者へ引き渡されたとして、船荷証券を担保として保有していたFIMBankが運送人KCHに誤渡し責任を追及した事案である。問題は、ヘーグ・ヴィスビー・ルール3条6項の1年間の出訴期間が、船舶からの揚荷後に発生した誤渡しにも適用されるかであった。
控訴院は、ヘーグ・ルール一般の適用期間自体は原則として積込みから揚荷までであるとしつつ、ヘーグ・ヴィスビー・ルール3条6項は特別に広い文言を用いているとした。旧ヘーグ・ルールの「loss or damage」に代えて、「all liability whatsoever in respect of the goods」と改められたことは、貨物の物理的損傷に限らず、貨物に関するあらゆる責任を対象とする趣旨であり、揚荷後から法的な「delivery」に至るまでの誤渡し責任も含むと解された。
裁判所は、「discharge」と「delivery」は別概念であり、前者は船から貨物を物理的に降ろす行為、後者は運送人から荷受人へ占有を法的に移転する行為であると整理した。そして、3条6項が「delivery」を基準に1年の期間を定めている以上、その適用は揚荷時点で当然に終了するものではないとされた。
また、Congenbill 2(c)は揚荷後の貨物損害について運送人の責任を否定する文言であったが、誤渡し責任まで明確に排除するものではなく、同条項によって1年の出訴期間が排除されることもないとされた。したがって、FIMBankが仲裁を開始したのは引渡しから1年以上経過後であり、その請求は時効により消滅したとして、控訴は棄却された。
(上告審あり)