Smart Gain Shipping Co Ltd v Langlois Enterprises Ltd (The Globe Danae) [2023] EWHC 1683 (Comm)

定期用船中に船体へ海洋生物が付着し、返船後に船主が水中清掃を実施した場合、用船契約上「always at Charterers’ time and expense」とされた清掃時間について、船主が実際の逸失用船料を立証せずとも用船料率で請求できるかが争われた事案である。Globe Danaeはブラジルで約42日間停泊し、返船後に船体・プロペラの水中清掃が約30時間行われた。
用船者は、返船後は用船契約が終了しているため「charterers’ time」という概念はもはや機能せず、船主が請求できるのは実際に生じた損害に限られると主張した。これに対し仲裁廷は、条項86は長期停泊による船体汚損リスクを用船者に配分する趣旨であり、清掃が返船後に行われても、その時間は用船者負担として用船料率で支払うべき債務であると判断した。
高等法院もこの判断を支持した。「at the first workable opportunity」は返船前に限定されず、単航海の定期用船では、最初の現実的な清掃機会が返船後になることも十分想定されるとした。また、「charterers’ time and expense」は、用船者自身が清掃を手配することを要求するものではなく、船主が実施した場合でも適用される。
したがって、本件請求は損害賠償ではなく契約上の金銭債務であり、船主は実際に次航海の用船料を失ったことを立証する必要はないとされた。返船後の清掃時間についても用船料率相当額を請求できるとして、用船者の控訴は棄却された。