MSC Mediterranean Shipping Co SA v Stolt Tank Containers BV and Others (The MSC Flaminia) (No 2) [2023] EWCA Civ 1007

MSC Flaminiaで危険貨物の自己重合により大規模爆発・火災が発生し、船体及び多数のコンテナが損傷した事故について、定期用船者MSCが、船主Contiから請求された約2億米ドルの損害について1976年船主責任制限条約に基づく責任制限を主張できるかが争われた事案である。

控訴院は、同条約上「shipowner」には船主だけでなく用船者も含まれるものの、用船者が責任制限できるのは、船主・用船者等の「shipowner」グループ外の第三者に対する責任を負担し、その責任を求償される場合に限られるとした。実船主が自ら被った船体損害等を用船者に直接請求する場合、その請求について用船者は責任制限できないと判断した。

その理由として、船主自身の損害まで責任制限基金から支払うことを認めれば、船主自らが設定した基金が自己の請求によって減少し、本来基金によって保護される第三者債権者の取り分も減少するという不合理な結果になることが指摘された。条約の目的も、国際海上運送を促進するため第三者責任を一定限度に抑えることにあり、船主と用船者間の契約責任まで当然に制限する趣旨ではないとされた。

なお、控訴院は、Contiの請求には貨物撤去費等の複数の損害項目が含まれ、その一部が条約2条1項(e)等に形式上該当する可能性はあるとした。しかし、本件ではConti自身が被った損失の請求である以上、MSCには責任制限権そのものがないとして、控訴は棄却された。

(上告審あり)