The Owners and/or Demise Charterers of the Ship “Edzard Schulte” v The Owners and/or Demise Charterers of the Ship “Setia Budi” – High Court of Malaya at Kuala Lumpur (Ong Chee Kwan J) – 2 August 2023

錨泊中のEdzard Schulteに、曳船Setia Budi等が曳航していたバージSetia Station 2が衝突した事故について、Edzard Schulte側が海事先取特権に基づきSetia Budiを差し押さえたところ、同船所有会社に会社法上の訴訟禁止命令(Restraining Order)が発令されていたことから、対物訴訟の継続に裁判所の許可が必要かが争われた事案である。

裁判所は、海事先取特権について、事故発生時に船舶へ付着し、登録を要せず、船舶の移転後も追及でき、対物訴訟及び差押えによって実現される物権的性質を有すると整理した。その上で、伝統的な海事先取特権については、船舶自体を被告とみる「personification theory」を採用するのが相当であり、所有会社に対する訴訟禁止命令は、原則として船舶そのものに対する対物訴訟を妨げないとした。

したがって、第1次Restraining Orderの下でも、Setia Budiに対する対物訴訟の提起・維持・継続について許可は不要であった。また、その後に発令された第2次Restraining Orderも独立した新たな命令ではあるものの、同様に現在の対物訴訟には及ばないとされた。

もっとも、船主が訴訟に出廷したことで生じる対人請求部分については、第2次Restraining Orderの対象となるため許可が必要であった。しかし、債権者は海事先取特権を有する担保債権者であり、Setia Budiは再建計画に実質的に利用されておらず、船価も請求額を下回り、事実上放棄されていたことから、訴訟継続を認めても再建を妨げないとして許可が与えられた。