United Overseas Bank Ltd v Owner and/or Demise Charterer of the Vessel “Maersk Katalin” [2024] SGHC 282

船主が原本船荷証券の呈示を受けずに軽油貨物を荷受人側へ引き渡したことについて、その後に船荷証券を取得した融資銀行UOBが誤渡し責任を追及した事案である。船主は、用船契約上、補償状(LOI)と引換えに船荷証券なしで荷揚げする義務があったこと、UOBがこれに同意又は追認したこと、UOBに訴権がないこと、及び誤渡しと損失との因果関係がないことを主張した。

裁判所は、LOIと引換えに貨物を引き渡すとの用船契約上の合意は、船主の船荷証券上の義務違反を適法化するものではないとした。LOIは、原本呈示なしの引渡しに伴う法的リスクを用船者へ転嫁するにすぎず、船主を船荷証券所持人に対する責任から免れさせるものではない。また、UOBが融資に関与したのは荷揚げ完了後であり、事前の同意や黙認は成立しなかった。事後的な追認についても、貨物を受領したHLTがUOBの代理人として行動したものではないため認められない。

船荷証券は、無権限者への誤渡しによって直ちに「spent」とはならず、UOBは後に適法な所持人として訴権を取得した。UOBが訴権取得を目的として船荷証券を取得したとしても、それ自体は不誠実ではなく、裏書及び交付により契約上の権利も有効に移転した。船主は、適法な船荷証券所持人への確認を行っていればUOBが引渡しを承認したことを立証できなかった。UOBが関与した時点では既に誤渡しが完了していたため、その後の行動から仮想的な同意を推認することもできない。以上により、船主の各抗弁は退けられ、UOBの請求及び利息が認容された。