O v C [2024] EWHC 2838 (Comm)

用船者が米国OFACの制裁対象者リストに掲載された後、船主がナフサ貨物の引渡しを拒否し、仲裁法44条に基づいて貨物の売却及び売却代金の保管方法を求めた事案である。用船者は売却自体には反対しなかったが、代金は通常どおり裁判所へ払い込むべきと主張し、船主は米国制裁違反の危険を理由にOFACの許可を得た凍結口座への入金を求めた。

裁判所は、貨物を船上に留置し続ければ、船主は本船を他の用途に使用できず、タンク塗装が長期の油貨保管に適していないため火災等の危険もあるとして、売却は双方の利益になると判断した。貨物が第三者に売却済みであったとしても、その者は売却代金に対して権利を主張できるため、売却命令を妨げないとされた。

売却代金の保管先について、裁判所は、外国法違反や刑事訴追の現実的危険がある場合には国際礼譲を考慮すべきであるが、その危険を立証する責任は当該外国法に依拠する側にあるとした。本件では、船主が制裁違反を避けるために貨物返還を拒み、裁判所の命令を求めていたことから、代金を裁判所へ払い込んでも米国当局が訴追する現実的可能性は低いと判断された。

また、裁判所への払込みであれば、仲裁判断に従って直ちに資金を充当できる一方、凍結口座ではOFACの追加許可が必要となる可能性があった。したがって、貨物の売却を命じ、売却代金は凍結口座ではなく裁判所へ払い込むべきものとされた。