定期用船中の本船が中国・営口港で乗組員4名の新型コロナ感染により入港を拒否され、韓国・蔚山へ航行して乗組員を交代したため生じた遅延期間について、オフハイヤーとなるかが争われた事案である。用船者は2022年3月31日から4月14日までの傭船料等を控除し、仲裁廷は用船者の主張を認めたため、船主が法律問題として上訴した。
裁判所は、BIMCO感染症条項にいう「Affected Area」とは、疾病を理由とする一般的な感染又は検疫リスクを有する港・場所を指すとした。本件の検疫は、営口港自体の性質や一般的政策によるものではなく、実際に乗組員が感染していたという本船側の事情から生じたため、同港はAffected Areaに該当しないと判断した。仮に該当するとしても、同条項には港への寄港と追加費用・遅延との因果関係が必要であり、本件遅延は寄港ではなく陽性反応によって生じたとして、オンハイヤー維持の規定は適用されない。
また、検疫条項上の「detention」は、用船契約上の航海遂行を物理的又は地理的に妨げる制約を含む。本船は感染者がいなくなるまで営口港への入港を認められず、これは乗組員の疾病による検疫上の抑留に当たる。さらに、疾病により本来の航路を外れて乗組員交代を行うことは、通常の用船業務の範囲内とはいえず、船舶の非効率状態による時間損失に該当する。したがって、当該遅延期間はオフハイヤーであり、仲裁判断が維持された。