Tanga Pharmaceuticals Plastics Ltd and Others v Emirates Shipping Line FZE [2025] EWHC 368 (Comm)

機関故障後に救助及び共同海損が発生した貨物について、荷主らが運送人に救助料等の補償を求めたところ、船荷証券上の請求期限により時効消滅したかが争われた事案である。船荷証券のClause Paramountは、ヘーグ・ルールを契約上取り込み、同ルール第3条6項は貨物引渡しから1年の出訴期限を定めていた。他方、Clause 18は一定の請求を20日以内に書面通知すべきこと、また訴訟は請求書が実際に送達された時に提起されたものとみなすことを定めていた。

裁判所は、契約上取り込まれたヘーグ・ルールを当事者が修正すること自体は可能であるが、そのためには明確な文言が必要であるとした。本件では、Clause 2が「CLAUSE PARAMOUNT」と題され、優先的効力を持つこと、同条がヘーグ・ルール第3条8項に明示的に言及していること、Clause 18にClause 2を排除する明確な文言がないことから、ヘーグ・ルールがClause 18に優先すると判断した。

さらに、救助料に関する補償請求は、単なる費用請求ではなく、救助者の海事先取特権によって貨物の引渡しが妨げられたことに由来する「貨物の損害」に当たり、20日間の通知期限の対象外であるとされた。また、英国法上、訴訟は請求書の発行時に開始されるため、送達時を提訴時とするClause 18の規定は出訴を困難にし、運送人の責任を軽減するものとして、ヘーグ・ルール第3条8項に反し無効とされた。したがって、本件請求は期間徒過しておらず、運送人の時効抗弁は退けられた。