衝突事故により豪州で差し押さえられたYangze 22について、P&I Clubが差し入れたLOUが本船解放に必要な十分かつ適切な担保に当たるかが争われた。
船主側のLOUは、いずれかの国で責任制限基金が設立され、請求がその基金に対して行われるべきと判断又は合意された場合、LOUに基づく請求権が自動的に消滅すると定めていた。裁判所は、船舶解放のための担保は、原告の合理的に主張し得る最大請求額、利息および費用を十分にカバーする必要があるとした。P&I ClubのLOUを担保として受け入れること自体には問題がないものの、条件付き担保であっても原告の権利を不当に失わせる内容であってはならない。本件条項によれば、中国など1976年責任制限条約の非締約国で基金が設立された場合でも、原告が実際に基金から回収できたか否かにかかわらず、LOU全体が消滅する可能性があった。単に基金からの回収額に応じてLOU額が減額されるとの意味には解釈できない。その結果、提示されたLOUは原告に十分かつ適切な担保を提供するものではなく、これを条件とする本船解放の申立ては認められなかった。