裸用船中のYangtze Fortuneに燃料を供給したCMETが、司法売却代金への対物請求に参加しようとした事案である。豪州海事法上、裸用船者の債務について船舶に対する対物訴訟を提起するには、請求原因発生時だけでなく、訴訟提起時にも当該者が裸用船者であることが必要とされた。
CMETは、司法売却の条件が成立した2023年3月7日に裸用船契約が履行不能となり終了したため、その時点を基準として売却代金へ請求できると主張した。しかし裁判所は、船舶の差押え及び売却は裸用船者YFLの債務不履行に起因しており、外部的な出来事を要するフラストレーションには当たらないと判断した。また、売却条件の締結だけでは売却が確実に完了したとはいえず、実際に最初の売却は不成立となっていたため、契約履行が不可能になったともいえなかった。
さらに、船主SHSLが3月10日に未払傭船料等を理由として解除通知を発した時点で、裸用船契約は終了したとされた。その後YFLが本船を占有していたとしても、契約上の裸用船者ではなく、無償受寄者として占有していたにすぎない。司法売却が完成し、売却代金が成立した3月14日には、YFLは既に裸用船者ではなかったため、CMETは対物請求を開始できなかった。
また、他の債権者が裸用船契約の存続中に適法に開始した訴訟へ後から参加すればよいとの主張も退けられた。対物管轄の要件は各請求ごとに満たす必要があり、競合する債権者を単に併合することはできない。加えて、CMETの申立ては期限から9か月以上遅れていたため、裁量上も認められなかった。
関連事件として、Dan-Bunkering (Singapore) Pte Ltd v The Ship “Yangtze Fortune” [2024] FCA 1149 – Federal Court of Australia (Justice Stewart) – 1 October 2024