Mercuria Energy Trading Pte v Raphael Cotoner Investments Ltd (The Afra Oak) [2023] EWHC 2978 (Comm)

定期用船中のAfra Oakが、用船者から「Singapore EOPLで待機せよ」との指示を受けたにもかかわらず、インドネシア領海内に錨泊したため同国海軍に拿捕・抑留されたことについて、船主がヘーグ・ルール4条2項(a)の航海過失免責を主張できるかが争われた事案である。仲裁廷は、用船者の指示は安全なSingapore EOPLで待機する趣旨であり、インドネシア領海内での錨泊を許容するものではなかったと認定した。

裁判所は、船長がインドネシア領海内に錨泊したのは、用船者の指示に従わない意図的な選択ではなく、航海上の位置確認を誤ったことによる過失であるとした。したがって、用船者の指示違反があったとしても、その原因が「船舶の航海又は管理における船長の過失」に該当する以上、船主はヘーグ・ルール4条2項(a)の免責を援用し得るとされた。

用船者はThe Hill Harmony等を根拠に、用船者のemployment orderに違反した場合には航海過失免責は適用されないと主張した。しかし裁判所は、同判例は、船長が指示に従わないことを意図的に選択した場合には、それだけでは航海過失とはいえないとしたにすぎず、あらゆる指示違反について免責を否定したものではないと整理した。

本件では、船長の行為は契約条項の誤解によるものではなく、領海位置を見誤ったという純粋な航海上の過失であった。よって、用船者の指示違反と航海過失免責は両立し得るとして、船主の免責を認めた仲裁判断は維持され、用船者の控訴は棄却された。