Congenbill 1994形式の船荷証券における「共同海損はYork-Antwerp Rules 1994又はその後の修正に従う」との条項が、2016年版York-Antwerp Rules(YAR 2016)まで取り込むかが争われた事案である。Star Antaresが航海中に水中の物体へ接触したため共同海損が宣言され、船主はYAR 1994の適用を、貨物保険者はYAR 2016の適用を主張した。
船主は、「subsequent modification」は1994年版の単なる修正を意味し、2004年版や2016年版のような新たなルール一式への置換は含まれないと主張した。また、YAR 2016を採用するならCongenbill 2016を使用できたはずであるとも主張した。
裁判所は、確かに「modification」という語だけを見れば、通常は対象の本質を変えない修正を意味するとしつつ、「any subsequent modification」という文言を契約締結時の背景事情と併せて解釈すれば、その後採択される新版YARも含むと判断した。当事者が「修正」と「全面的な新版」とを技術的に区別する意図を有していたとは考え難く、むしろ最新の海運実務の発展を共同海損精算に反映させることが、この文言を置いた自然な目的であるとされた。
また、学説上の記述は契約解釈上の事実的背景にはならず、Congenbill 2016を使用しなかったことも決定的ではないとされた。したがって、本件船荷証券の「any subsequent modification」はYAR 2016を含み、共同海損の精算にはYAR 2016が適用されると判断された。