Hyphen Trading Ltd v BLPL Singapore Pte Ltd – [2023] SGHC 302, High Court of the Republic of Singapore (Justice S Mohan) – 25 October 2023

約1,048万米ドル相当のニッケルブリケット貨物について、HTLとTIPLがそれぞれ正当な船荷証券所持人であると主張して所有権を争う中、倉庫保管中の貨物を紛争解決前に売却すべきかが争われた事案である。HTLは、貨物価値の下落、保管中の安全上の懸念及び倉庫費用の増加を理由に、売却代金を裁判所又はエスクロー口座に保管するよう求めた。

裁判所は、シンガポール民事訴訟規則上、動産が腐敗しやすい場合、価値が減少する可能性がある場合、又はその他売却が望ましい場合には中間的売却を命じ得るとした。その判断に際しては、貨物自体の劣化、保管費用による価値侵食、保管費用を負担する代替的な担保や約束の有無、貨物が放棄されているか、請求額と貨物価値の比較、第三者利益への影響などを総合考慮すべきとした。

本件では、HTLはニッケル価格又は貨物自体の価値が減少するとの具体的証拠を提出していなかった。また、予想される保管・保険費用は約22万米ドルで、その他費用を含めても貨物価値の約6%にすぎず、過去に売却が認められた事案と比較しても著しく低かった。さらに、HTL自身が保管費用を負担する旨の約束をしていたことも売却に反する事情とされた。

加えて、貨物が盗難や詐欺の危険にさらされているとの主張も立証されず、第三者の利益保護の必要性もなかった。したがって、現段階で貨物を売却すべき十分な理由はなく、所有権紛争が解決するまで現物を維持すべきとして、HTLの売却申立ては棄却された。