内在的欠陥のある大豆貨物について中国裁判所が船主に誤って損害賠償責任を認めた場合、船主が定期傭船者に黙示の補償を請求できるかが争われた。船主は、中国での貨物損害訴訟により一定額の賠償金と費用を支払い、その全額について、傭船者の積荷・航海指図から生じた損失であるとして補償を求めた。
裁判所は、傭船者の指図に従った結果、第三者に対する予想外の責任を負った場合、船主がその損失を負担することを契約上引き受けていない限り、黙示の補償が認められ得るとした。傭船者に過失があることまでは必要ない。本件の貨物損害は、通常の航海・貨物運送に伴う一般的なリスクではなく、内在的欠陥のある貨物を積載し、中国裁判所が誤った判断をしたことによって生じた例外的な損失であった。船主がこれを負担すると合意していたとは認められなかった。また、Inter-Club Agreementに基づく明示的な貨物責任分担条項は、対象となる貨物クレームについてのみ適用されるものであり、黙示の補償請求を排除する完全な規律ではない。その結果、船主には傭船者に対する黙示の補償請求が認められ、仲裁判断に対する傭船者の控訴は棄却された。