Oceanus Capital Sarl v Lloyd’s Insurance Co SA(The Vyssos)[2026] EWCA Civ 863

船主がTrading Warrantyに違反して本船をウクライナ領海へ航行させ、機雷により全損となった場合、抵当権者がMortgagee’s Interest Insurance(MII)に基づき保険金を請求できるかが争われた。

保険者は、追加戦争危険保険のカバーノートが偽造であったことが損失の近因であり、MIIが担保する危険には当たらないと主張した。しかし控訴院は、MIIは抵当権者自身の本船に対する担保権益を保険するものであり、船主保険がTrading Warranty違反を理由に支払われなかったことが補償対象となると判断した。偽造書類は、抵当権者が追加保険の存在を信じた事情にすぎず、客観的な損失原因ではないとされた。追加保険が実際に存在したという反実仮想を前提にすれば、船主保険から支払われたはずであり、偽造自体を近因とみることはできない。また、抵当権者は追加保険が付保されたことを条件としてウクライナ航海を認めたのであり、Trading Warranty違反を認識して容認したものではなかった。欺罔によって得られた同意は有効な「privity」には当たらないとされた。さらに、損失は機雷への接触という抵当権者にとって偶発的な事故によって発生したため、fortuityも認められた。その結果、第一審判決は維持され、抵当権者にはMIIに基づく保険金請求が認められた。