RTI Ltd v MUR Shipping BV [2024] UKSC 18

米国制裁の影響により契約所定の米ドル送金が遅れる可能性が生じた場合、船主が不可抗力条項を援用するために、傭船者から提案されたユーロ払いを受け入れる必要があるかが争われた。

傭船者は、ユーロで支払い、為替差損や追加費用も負担すると提案したため、船主は合理的努力により不可抗力の影響を回避できたと主張した。最高裁は、不可抗力条項における「合理的努力」は、契約どおりの履行を可能にするための努力を意味し、明確な合意がない限り、契約外の履行を受け入れる義務までは含まないと判断した。本件で契約上求められていたのは米ドル払いであり、ユーロ払いは経済的に同等であっても契約どおりの履行ではない。船主には米ドルでの支払いを求める契約上の権利があり、これを放棄するには明確な文言が必要であるとされた。その結果、船主はユーロ払いを拒否して不可抗力条項を援用することができ、傭船者に代替船手配費用を賠償する義務はないとされた。