傭船者が、本船は引渡時から船体汚損があり、そのため速力低下と燃料過消費が生じたとして、未払用船料から損害を控除できるかが争われた。
傭船契約には、本船が引渡時に船体汚損のない状態であるとの明示保証があり、性能保証は契約所定の良好気象条件下に限って適用されると定められていた。仲裁廷は、引渡し約20日後の水中検査資料だけでは、引渡時に重大な船体汚損が存在したことを立証できず、NYPE第15条の船体欠陥にも当たらないと判断した。また、当該航海には契約上の良好気象期間が存在せず、傭船者のWRCレポートも契約上の気象基準を用いないall-weather分析であったため、性能不足の立証には使えないとされた。航海全体に一定割合の性能低下を適用する代替計算も、単純化しすぎており、時間損失や追加燃料消費を適切に算定していなかった。したがって、仮に引渡時の船体汚損が認められたとしても、傭船者はそれによる損害額を立証できていないとして、性能不足の反対請求は棄却された。その結果、船主の未払用船料請求に加え、FuelEUペナルティおよびEU ETSに基づく移転請求も認められた。