Skyros Maritime Corporation v Hapag-Lloyd AG(The Skyros and The Agios Minas)[2025] EWCA Civ 1529

定期傭船者が本船を期限後に返船したものの、船主は既に本船を第三者へ売却しており、適時に返船されても再傭船する予定がなかった場合、船主が市場用船料と契約用船料との差額を損害として請求できるかが争われた。

第一審は、船主には再傭船の機会がなく、現実の逸失利益も生じていないため、通常の市場差額損害は認められないと判断した。また、契約用船料が定められている以上、量的報酬、使用利益損害又は仮想的な交渉額に基づく請求も認めなかった。しかし控訴院は、期限後も傭船者が本船の商業的使用を継続した以上、船主はその期間について本船サービスの市場価値を失ったと判断した。返船遅延損害は、船主が実際に代替傭船契約を締結できたかという個別事情ではなく、傭船者が契約期間を超えて使用したサービスの客観的価値を基準に算定される。したがって、本船売却のため船主が再傭船する予定を有していなかったことは、損害額を否定する事情にはならない。売買契約は傭船契約とは独立した事情であり、傭船者が遅延期間中に市場価格を下回る契約用船料のみで本船を使用できる理由にはならない。その結果、船主は返船遅延期間について市場用船料と契約用船料との差額を請求できるとされ、具体的な市場料率の算定のため事件は仲裁廷に差し戻された。