MS Amlin Marine NV v King Trader Ltd and Others [2024] EWHC 1813 (Comm)

用船者BMCが船舶Solomon Traderの座礁事故により船主らに多額の損害賠償責任を負った後に倒産したため、船主らが2010年第三者(保険者に対する権利)法に基づき、BMCの責任保険者へ直接請求した事案である。保険契約には、被保険者が第三者に対する責任を先に支払うことを保険金請求の前提条件とする「pay to be paid」条項が含まれていた。

裁判所は、同条項は倒産した被保険者から権利を承継する第三者にも有効であると判断した。2010年法は、死亡・人身傷害に関する海上保険請求については同条項を適用しない旨を定めるが、本件は財物損害であり、その例外には該当しなかった。

船主らは、保険者の補償義務と先払い条件が矛盾すること、被保険者の倒産時にも既発生事故の補償を維持する条項と整合しないこと、及び条項が標準約款中に埋没していたことを主張した。しかし裁判所は、責任が確定して補償を受ける権利が発生することと、実際に保険金を回収するための条件とは区別されるとして、矛盾を否定した。倒産しても被保険者が全く支払不能とは限らず、倒産により既発生の権利が当然に消滅するものでもない。また、同条項は責任保険で一般的に用いられるもので、予想外の条項ではなかった。さらに、同条項を被保険者に支払能力がある場合や本人請求の場合に限定する文言はなく、そのような黙示条項を認める根拠もない。したがって、BMCが損害賠償債務を支払っていない以上、保険者に支払義務はなく、船主らの直接請求は認められなかった。

(控訴審あり)