コンテナ船X-Press Pearlの沈没事故について、貨物関係者らがスリランカで船主及びP&Iクラブに対する直接請求を提起したため、クラブが英国裁判所に対し、スリランカ訴訟の差止め及び「pay to be paid」条項の効力確認を求めた事案である。クラブ規則は英国法を準拠法とし、紛争をロンドン仲裁に付すとともに、被保険者が先に第三者へ支払うことを保険金請求の前提としていた。
裁判所は、外国訴訟における保険者への請求が現地法上の独立した直接請求権に基づくのか、それとも保険契約上の権利を承継・援用するものかを区別すべきとした。スリランカ法には保険者に対する一般的な直接請求制度がなく、貨物関係者らはクラブを「保険者」として訴えていたため、その請求は保険契約に由来すると判断された。
したがって、貨物関係者らが保険契約上の利益を主張する以上、その負担であるロンドン仲裁条項及びpay to be paid条項にも従わなければならない。クラブはスリランカ裁判所の管轄に服しておらず、管轄を争い、差止申立ても遅滞なく行っていたため、差止めを拒む特段の事情はなかった。
また、pay to be paid条項は英国法上有効であり、船主が貨物関係者らへ先に支払っていない限り、クラブに対する直接請求の完全な抗弁となるとされた。この点を確認する宣言は、スリランカ裁判所にも有用な指針を与えるとして、裁判所は外国訴訟差止命令及び確認判決の双方を認めた。