KfW IPEX-Bank GmbH v Owner of the Vessel “World Dream” [2024] SGHC 56

大型クルーズ船World Dreamの司法売却後、船内のスロットマシンやカジノテーブル等のゲーム設備が船舶抵当権の対象に含まれるかが争われた事案である。船主側は、別船の抵当契約では「gaming equipment」が明記されていたのに対し、本船の抵当契約には明記されていないため、ゲーム設備は一般債権者に帰属すると主張した。

裁判所は、まず、船主側が対象となるゲーム設備を十分具体的に特定していないこと自体、申立てを退ける理由になるとした。その上で実体判断として、抵当契約上の「ship」には、航行に必要な設備だけでなく、その船舶が予定する事業目的の遂行に必要な物も含まれると判示した。

World Dreamは単に旅客を目的地へ運ぶ船ではなく、船内で娯楽や余暇を提供する「浮かぶリゾート」であった。特に南アジア市場を意識し、複数のカジノ区画を備えていたことから、ゲーム設備は乗客に提供する総合的なクルーズ体験の重要な一部であり、同船の事業目的の遂行に必要な設備であるとされた。

また、ゲーム設備は、抵当契約上の「appurtenances(付属物)」又は「belongings(船舶に属する物)」にも該当するとされた。別船の抵当契約でゲーム設備が明示されていたことは、契約当事者が異なるため、本船の抵当契約の解釈資料にはならない。したがって、ゲーム設備はWorld Dreamの船舶抵当権に含まれ、その売却代金についてKfWの担保権が及ぶと判断された。