バングラデシュ・チッタゴン沖の錨地で、錨泊中のばら積船Belpareilが走錨し、同じく錨泊中のKiran Australiaと衝突した事故について、両船の過失割合が争われた事案である。Belpareilは機関不調のためKiran Australiaへ接近し、一度は離れたものの、再び機関が停止して衝突した。
裁判所は、Belpareilが危険な状況を作り出した主たる責任を負うと判断した。船舶が走錨した場合、それ自体が一応の過失の証拠となり、船側が合理的な注意を尽くしても防げなかったことを立証しない限り責任を免れない。本件では、その推定は覆されなかった。また、Belpareilは遅くとも23時40分までに、走錨及び機関不調を周囲の船舶へ警告すべきであり、早期に通知されていればKiran Australiaは揚錨して離脱できた可能性が高かった。さらに、早期に第二錨を投下しなかったことも過失とされた。
他方、Kiran Australiaにも、衝突直前の操船に一部不適切な点があり、危険回避のための対応が十分ではなかったとして過失が認められた。ただし、その過失は、危険を最初に生じさせ、長時間継続させたBelpareilの過失より軽いとされた。
責任割合について、裁判所は、単に事故直前の行為を重視するのではなく、各過失の性質と責任の重さを総合的に評価した。その結果、Belpareilが70%、Kiran Australiaが30%の責任を負うと判断された。