定期用船者Sincoが支払うべき燃料代を船主Marchandが立替払いした後、Sincoが航海用船者Olamに対して有する滞船料債権について、NYPE第18条に基づく船主の先取特権が及ぶかが争われた事案である。OlamはSincoに19万112米ドルの滞船料を負担していたが、MarchandとSincoの双方から支払を求められたため、その帰属が問題となった。
裁判所は、第18条が「本用船契約に基づき支払われる一切の金額」について、貨物、サブフレート、サブハイヤー及び滞船料に対する先取特権を船主に認めているとした。用船契約上、燃料代の支払責任が用船者にあるにもかかわらず、船主が差押えを回避するためこれを立替払いした場合、その立替額は同条の「本用船契約に基づき支払われる金額」に含まれると判断された。
したがって、Marchandは、OlamがSincoに支払うべき滞船料債権に対し、有効に先取特権を行使したとされた。Marchandが燃料供給者からSincoに対する債権の譲渡を受けていたことも、その請求を補強した。
また、MarchandとSincoの用船契約にはロンドン仲裁条項があったが、Olamはその当事者ではなく、仲裁義務を負わない。さらに、仲裁条項には、仲裁開始又は仲裁判断の取得を先取特権行使の前提とする文言もなかった。したがって、MarchandとSinco間に紛争が存在しても、MarchandによるOlamの滞船料債権への先取特権行使は妨げられず、19万112米ドルはMarchandに帰属すると判断された。