アイルランド南西沖の公海上で、大型ばら積船Hua Sheng Haiとフランス籍漁船Kirrixkiが衝突した事故について、双方の過失割合が争われた事案である。両船は互いに、見張り、レーダー利用、灯火、針路・速力の保持及び避航措置に関する国際海上衝突予防規則違反を主張した。準拠法はアイルランド法とされ、同規則上の慎重な船員としての基準に照らして責任が判断された。
裁判所は、Kirrixkiに重大な過失があったと認定した。船長は漁具の取扱いに専念し、10名の乗組員の誰も適切な見張りをしていなかったほか、レーダーやAIS警報も利用していなかった。また、漂流及び低速航行の後、衝突直前に急加速して北西へ変針し、Hua Sheng Haiとの衝突針路を形成した。この行動は、仮に漁労船として優先関係にあったとしても、針路及び速力を保持すべき義務に反するとされた。事故直前には実際に投網作業中ではなく、別の漁場へ自動操舵で移動していたとも認定された。
他方、Hua Sheng Haiにも一定の過失が認められた。同船が漁場を航行していたこと自体は違法ではなく、Kirrixkiが漁船であることによって見張り義務を免れるものでもない。しかし、Kirrixkiの動静から衝突の危険が明白となった時点で、早期に左転その他の避航措置を講じることが可能であり、当直士官が適切に監視していれば衝突を回避できたとされた。
裁判所は、危険な状況を積極的に作り出した船の過失を、既に生じた危険への対応が遅れた船の過失より重く評価すべきとして、Kirrixkiに85%、Hua Sheng Haiに15%の責任を配分した。