ガソリン貨物がイエメン到着後に規格外として受入れを拒否されたことから、被保険者MOKが貨物保険に基づき損害填補を求めた事案である。MOKは、航海中に船舶タンク又は配管内の水分が混入し、メタノールを含むガソリンが相分離して損傷したと主張した。これに対し再保険者らは、貨物は積込前から規格外であり、保険事故による損傷はなかったと争った。
裁判所は、貨物が偶然な事故により損傷したことを立証する責任はMOKにあるとした上で、積込前の試料に関する後日の分析結果や到着後の検査結果を総合し、貨物は積込前から規格外であった蓋然性が高いと認定した。積港で発行された品質証明書は実際の品質を正確に反映しておらず、航海中に水が混入したとの説明も可能性が低い。
また、売主が選択した配合割合自体はMOKにとって偶然な事情であり得るものの、船内貨物全体に相分離が生じた証拠はなく、試験時の冷却によってのみ分離が確認されたにすぎなかった。相分離は温度上昇により元に戻る自然な性質であり、物理的損傷とはいえず、分離しやすい性質も貨物固有の属性にすぎない。さらに、船舶・陸上タンク及び配管の検査・証明を求める保証条項については、配管に関する証明書が適時に発行されておらず違反が認められた。
もっとも、保険約款の「保証違反は通常保険を無効とする」との文言は、2015年保険法から明確に離脱する合意とは認められなかった。結論として、保険事故による貨物損害が立証されず、MOKの請求は棄却された。