Moeve Trading SAU v Mael Trading FZ LLC [2026] EWHC 17 (Comm)

買主が信用状を開設したことで売買代金の支払義務を果たしたことになるか、また、船荷証券が買主に引き渡されていないことを理由に代金支払を拒めるかが争われた。

裁判所は、信用状による支払は、契約に明確な反対の定めがない限り、通常は「条件付支払」にすぎず、信用状の開設だけで買主の代金債務が消滅するものではないと判断した。本件では、貨物はFOB条件により船積時に買主へ引き渡され、所有権も買主に移転していた。買主は実際に貨物を受領していたため、発行銀行が信用状に基づく支払を拒絶しても、買主自身の代金支払義務は残るとされた。また、船荷証券の引渡しと代金支払は同時履行の関係にあるものの、売主は書類を引き渡す準備と意思を有していれば足りる。本件で書類が売主の手元に残ったのは、銀行が支払を拒絶したためであり、買主が代金支払を免れる理由にはならないとされた。その結果、買主には有効な抗弁の見込みがなく、売主に対し売買代金を支払う旨の略式判決が言い渡された。