Goliath号が港内でタグボート2隻および岸壁に衝突し、タグボートが沈没した事故について、沈没船の撤去費用や流出油の処理費用を含む請求に対し、Goliath船主が責任制限を主張できるかが争われた。
1976年責任制限条約は、船舶の運航に関連する物的損害を原則として責任制限の対象としているが、オーストラリアは、条約上認められた留保を行い、沈没船の引揚げ、撤去、破壊または無害化に関する請求を責任制限の対象から除外している。船主は、撤去費用も衝突による物的損害またはその結果としての損失に当たるため、別の条項に基づいて責任制限が可能であると主張した。最高裁は、一つの請求が物的損害に関する規定と沈没船撤去に関する規定の双方に該当することはあり得るとしつつ、沈没船撤去に関する請求を国内法上明確に除外している以上、他の規定を経由して責任制限を認めることは条約留保の効果を失わせると判断した。また、撤去対象となる「船」は責任制限を申し立てる船舶自身に限られず、衝突によって沈没した相手船も含まれるとし、沈没したタグボートの引揚げ、撤去、処分およびこれに関連する流出油対策費用について、Goliath船主は責任制限を主張できないと判断した。この判断は、同様の留保を採用する香港のThe Star Centurion判決と整合する。