傭船者が指定したロシア産石油貨物について、制裁対象者が荷送人企業を実質的に支配している可能性があるとして、船主が積載を拒否できるかが争われた。
傭船契約の制裁条項は、船主の合理的判断により、航海指図への従事が船主、本船、船員又は保険者を制裁にさらす場合、船主が当該指図を拒否できると定めていた。控訴院は、「制裁にさらす」とは、実際の制裁違反が確実又は可能性として過半であることを要せず、現実的な制裁リスクにさらすことを意味すると判断した。船主に求められるのは、当時入手可能な資料に基づき、誠実かつ客観的に合理的な判断をすることである。本件では、制裁対象者と荷送人企業との関係を示す資料が存在し、同人が引き続き企業を支配している現実的な可能性が認められた。そのため、船主が制裁リスクを理由に積載を拒否した判断は合理的であり、傭船者は代替航海指図を出すべきであった。よって、船主の積載拒否は正当であり、これを理由とする傭船者の契約解除は不当な契約違反とされた。