Poralu Marine Australia Pty Ltd v MV Dijksgracht – [2023] FCAFC 147, Federal Court of Australia Full Court (Justice Rares, Justice Sarah Derrington and Justice Feutrill) – 8 September 2023

アイルランドから豪州へ運送されたポンツーン貨物の損傷について、運送契約がいつ、どの文書によって成立したか、また適用される責任制限制度がヘーグ・ルール、ヘーグ・ヴィスビー・ルール又は豪州改正ヘーグ・ルールのいずれであるかが争われた事案である。第一審は、後日発行されたbooking noteが契約書であり、そこに定める1梱包100ポンドの責任制限が適用されるとした。 連邦裁判所合議体はこれを一部覆し、   続きを読む…

JOL and Another v JPM [2023] EWHC 2486 (Comm)

2隻の船舶を裸用船した用船者について、保証会社グループの持株比率低下が契約上のTermination Eventに該当するとして、船主が用船契約を解除し、本船の即時返船を求めた事案である。紛争はLMAA仲裁に付されていたが、船主は仲裁判断を待たず、Arbitration Act 1996第44条に基づき、裁判所に対して本船の返船又は返船のための一切の措置を命じる暫定命令を求めた。 裁判所は、まずL   続きを読む…

The Owners and/or Demise Charterers of the Ship “Edzard Schulte” v The Owners and/or Demise Charterers of the Ship “Setia Budi” – High Court of Malaya at Kuala Lumpur (Ong Chee Kwan J) – 2 August 2023

錨泊中のEdzard Schulteに、曳船Setia Budi等が曳航していたバージSetia Station 2が衝突した事故について、Edzard Schulte側が海事先取特権に基づきSetia Budiを差し押さえたところ、同船所有会社に会社法上の訴訟禁止命令(Restraining Order)が発令されていたことから、対物訴訟の継続に裁判所の許可が必要かが争われた事案である。 裁判所   続きを読む…

JB Cocoa Sdn Bhd and Others v Maersk Line AS [2023] EWHC 2203 (Comm)

ナイジェリアからマレーシアへ運送されたカカオ豆が、揚荷後コンテナ内に長期間留置された結果、結露及びカビによる損傷を受けたとして、貨物関係者がMaerskに損害賠償を求めた事案である。裁判所は、貨物は船積時には良好な状態であり、損傷は揚荷後からデバンニングまでの長期コンテナ保管によって生じたと認定した。 JB Cocoaについては、損傷発生時に貨物の所有権又は占有権原を有していたことを立証できず、不   続きを読む…

Owner of the Vessel “Navigator Aries” v Owner of the Vessel “Leo Perdana” [2023] SGCA 20

インドネシア・スラバヤ海峡の狭水道を反航していた液化ガスタンカーNavigator Ariesとコンテナ船Leo Perdanaが衝突した事故について、COLREGs違反と過失割合が争われた事案である。両船は左舷対左舷で行き会うことを合意していたが、Leo Perdanaが右舷側岸壁との流体力学的相互作用により左舷へ大きく偏向し、Navigator Ariesの進路に入り込んで衝突した。 控訴院は   続きを読む…

MSC Mediterranean Shipping Co SA v Stolt Tank Containers BV and Others (The MSC Flaminia) (No 2) [2023] EWCA Civ 1007

MSC Flaminiaで危険貨物の自己重合により大規模爆発・火災が発生し、船体及び多数のコンテナが損傷した事故について、定期用船者MSCが、船主Contiから請求された約2億米ドルの損害について1976年船主責任制限条約に基づく責任制限を主張できるかが争われた事案である。 控訴院は、同条約上「shipowner」には船主だけでなく用船者も含まれるものの、用船者が責任制限できるのは、船主・用船者等   続きを読む…

Perusahaan Perseroan (Persero) PT Pertamina v Trevaskis Ltd (The Star Centurion and The Antea) [2023] HKCFA 20

Anteaが錨泊中のStar Centurionに衝突し、同船が全損となった後、インドネシア当局の命令に基づきStar Centurion側が負担した難破船撤去費用について、1976年船主責任制限条約に基づく責任制限が適用されるかが争われた事案である。香港法は、同条約2条1項(d)の難破船撤去請求を適用除外としていたため、Antea側は同条1項(a)の「物的損害及びその結果として生じる損失」に撤去   続きを読む…

Smart Gain Shipping Co Ltd v Langlois Enterprises Ltd (The Globe Danae) [2023] EWHC 1683 (Comm)

定期用船中に船体へ海洋生物が付着し、返船後に船主が水中清掃を実施した場合、用船契約上「always at Charterers’ time and expense」とされた清掃時間について、船主が実際の逸失用船料を立証せずとも用船料率で請求できるかが争われた事案である。Globe Danaeはブラジルで約42日間停泊し、返船後に船体・プロペラの水中清掃が約30時間行われた。用船者は、返   続きを読む…

FIMBank plc v KCH Shipping Co Ltd – [2023] EWCA Civ 569, Court of Appeal, (Lord Justice Males, Lord Justice Popplewell and Lord Justice Nugee) – 24 May 2023

ばら積み石炭が揚荷後、船荷証券の呈示なしに第三者へ引き渡されたとして、船荷証券を担保として保有していたFIMBankが運送人KCHに誤渡し責任を追及した事案である。問題は、ヘーグ・ヴィスビー・ルール3条6項の1年間の出訴期間が、船舶からの揚荷後に発生した誤渡しにも適用されるかであった。 控訴院は、ヘーグ・ルール一般の適用期間自体は原則として積込みから揚荷までであるとしつつ、ヘーグ・ヴィスビー・ルー   続きを読む…

Seven Seas Transportation Ltd v Pacifico Union Marina Corpn (The Oceanic Amity and Satya Kailash) [1984] 1 Lloyd’s Rep

Satya Kailashの軽荷作業のためNYPEフォームで用船されたOceanic Amityが、作業中の過失ある操船によりSatya Kailashを損傷させたことについて、用船契約に取り込まれた米国COGSAの免責規定及び「errors of navigation」条項の適用が争われた事案である。 控訴院は、米国COGSAが用船契約に明示的に取り込まれた場合、船荷証券契約にのみ適合する部分は   続きを読む…

広島高裁令和2年2月21日決定(平成31年(ラ)第54号・船舶所有者等の責任制限手続開始決定に対する即時抗告事件)

船舶が山口県周防大島の橋梁に衝突し、橋桁、送水管、電力・通信ケーブル等を損傷させ、約40日間の断水を生じさせた事故について、船舶所有者が船主責任制限法に基づく責任制限手続を申し立てた事案である。債権者らは、船長らの航海計画及び操船が無謀であり、船主自身にも安全管理上の重大な欠陥があるとして、責任制限は認められないと主張した。 広島高裁は、責任制限を阻却する「損害発生のおそれを認識しながらした無謀な   続きを読む…

Minerva Navigation Inc v Oceana Shipping AG (The “Athena”) [2013] EWCA Civ 1723

定期用船中の本船Athenaが、用船者からベンガジ沖へ向かうよう指示されたにもかかわらず、船主の指示により約10.94日間、公海上で漂流した期間について、NYPE書式15条に基づきオフハイヤーとなるかが争われた事案である。仲裁廷は、用船者の指示は有効であり、船長の不履行は契約違反であるとした一方、本船が直ちにベンガジへ向かっても、実際より早く着岸・揚荷できなかったため、用船者には最終的な遅延損害が   続きを読む…

Whistler International Ltd v Kawasaki Kisen Kaisha Ltd (The Hill Harmony) [2001] 1 AC 638

NYPEフォームによる定期用船中、用船者がOcean Routesの推奨に従い北方の大圏航路を航行するよう指示したにもかかわらず、船長がより南方のrhumb line routeを選択したため、航海時間及び燃料消費が増加したことについて、船主の契約違反及び航海過失免責の成否が争われた事案である。 貴族院は、NYPE8条の「utmost despatch」及び用船者のemploymentに関する指図   続きを読む…